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「履正社行くなら本気で甲子園目指そうと」史上初のセンバツ開催中止…連覇への挑戦権を奪われた履正社ナインはコロナ禍をどう乗り越えたか
text by
釜谷一平Ippei Kamaya
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/08/07 17:08
2019年夏の甲子園で初優勝した履正社。史上5校目の夏春連覇に向けて挑戦するはずだったが…
「ホテルの食堂をお借りしてチームで素振りをしていたんですが、かなり夜遅い時間まで、小深田や池田ら2年生が居残って振っていました。次の日は決勝で、2人はスタメンですから『そろそろ上がろうか』と言ったら、『僕らの代のチーム、どう思います?』と聞いてきたんです。大阪の他のチームはもう秋に向けて始動している。自分たちは甲子園の期間中、練習やトレーニングができていないんだと。明日、日本一を懸けて戦うという時に、秋を考えている。意識の高さに驚くとともに、次のチームも強くなると確信しました」
そして緊急事態宣言下、休校中に彼らが自らを厳しく追い込んできたことは、その後チームが再集合を果たした時点で、平嶋の目には明らかだった。
「彼らをパッと見た瞬間、筋力が落ちていないことは身体のフォルムでわかりました。アスリートとして、しっかり戦える身体になっていました」
筋力だけでなく、最大球速を大幅に上げ、“化けた”投手も複数出た。
最後を懸ける夏へ「僕たちはもっと強くなれる」
池田はこう話す。
「僕たちはもっと強くなれる、と思いながらやっていました。みんなとは会えなかったし、頻繁に連絡を取っていたわけではないですけど、みんな絶対に上げてくる。互いにそう信じられる学年でした」
全ては、最後を懸ける夏のためだった。
<#3に続く>