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ラツィオ鎌田大地27歳のPK持論「結局、監督と仲間の信頼がないと…」なぜCLで“相手サポの妨害”に笑ったか「外したら批判されたでしょうけど」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/08/07 11:02

ラツィオ鎌田大地27歳のPK持論「結局、監督と仲間の信頼がないと…」なぜCLで“相手サポの妨害”に笑ったか「外したら批判されたでしょうけど」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

前所属のフランクフルトではPKキッカーを務めていた鎌田大地。日本代表でもその重責を担う場面はくるか

「まぁ、あれで外していたら、批判されたでしょうけど(笑)」と鎌田自身も当時を振り返る。

「コロちゃんに“ダイチ、蹴ってくれ”と」

 ただ、今になって、初めて明かす真実がある。

「実は、あの場面で“コロちゃん”が『大地、ここはお前が蹴ってくれ』と言ってきたんですよ。試合後にはロッカールームで、CLの大一番の絶対に外せない場面でそう言ってきた彼のことをイジりましたけどね(笑)」

 コロちゃんというのは、フランス人FWのランダル・コロ・ムアニのニックネームだ。昨シーズンからフランクフルトに加入して15ゴール、16アシスト(『キッカー』誌による集計)。ゴールに直接関与した数字を表わす「スコアポイント」では31ポイントでリーグ最多となったエースストライカー。さらに言えばパリSG、レアル・マドリーやマンチェスターユナイテッドなどが高い関心を示している逸材である。

 フランクフルトではチームの1番手のPKキッカーは鎌田だったが、シーズン途中からは試合展開によってコロ・ムアニが蹴ることもあった。だから、あのスポルティング戦でも、「どちらがPKを蹴るか」について話そうと鎌田は考えたのだが、エースストライカーは意外にも「オマエに任せた」と発言するだけだった。

 結局、鎌田は1番手のキッカーとしてシーズンで計4本のPKを全て成功させた。自信を持ち、蹴れている証拠が100%の成功率に表れている。

“いつもと逆の右”に蹴って一皮むけたEL決勝

 そうやって自信を持てるようになったのには、明確なきっかけがあった。

「自分にとっては(2022年5月の)EL決勝のPK戦で決めたのが、すごく大きかったですね。準優勝と優勝では大きく違うし、自分が外して負けたら最悪な試合で。あそこでしっかり責任を持って蹴って、それで決められたことで一皮むけた感じがしました」

 あのときは、PK戦に突入することが決まった時点で、オリバー・グラスナー監督から聞かれていた。

「蹴る気はあるか?」

 鎌田は、即答した。

「俺、蹴りますよ」

 そんなやり取りを経て、3番目のキッカーに指名された鎌田は右隅にPKを決めたのだが……。

「小中高とPKを蹴っていたときも、プロになってシント・トロイデン時代に2回蹴らせてもらったときも、すべて左方向に蹴っていたんですよね。ただ、シント・トロイデンではそのうち1回は外していたり、『最近はなんか上手くいかないな』と感じるようになっていました。

 そこでEL決勝では、それまで試合では蹴ったことのなかった右方向に蹴って、決まったんですよ。ポストに当たってゴールに入ったんですけど、そこからPKに関しては吹っ切れて、問題なく蹴れるようになりましたね」

 これと似たような気配は――前述したPKを譲ってきたコロ・ムアニからも感じている。

【次ページ】 「ダイチ、本場の“パリ・スタイル”を教えてやる」

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