核心にシュートを!BACK NUMBER
ラツィオ鎌田大地27歳のPK持論「結局、監督と仲間の信頼がないと…」なぜCLで“相手サポの妨害”に笑ったか「外したら批判されたでしょうけど」
posted2023/08/07 11:02
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
「大地が交代しちゃって、PK戦では誰が蹴るんだろうな?」
カタールW杯のクロアチア戦、後半30分すぎ。鎌田大地がベンチに下がったあと、日本代表のベンチではそんな声が挙がっていた。
鎌田はこう振り返る。
「フランクフルトだったら、あそこでは代えられていないと思います。監督は僕がPKをしっかり蹴れることをわかっていたし、信頼してくれていたので。PK戦も考えて僕を残すでしょうね。
もちろん、クロアチア戦も最後までピッチにいたかったですよ。自分がPK戦までピッチに残っていたら絶対に、PKを蹴っていました」
キッカーに名乗り出た者しか手にできない勇気や、PKを外した者にしかわからない悔しさがある。とすれば、PKを蹴る権利すら得られず、日本代表の夢が破れていく様を見つめるしかなかった鎌田には、虚しさがあった。
「『PK戦にいれば絶対に蹴っていた』というのは、決められる自信があったというのもそうですけど、一応、(攻撃のポジションの選手としては唯一)W杯では全試合スタメンで使ってもらっていたので。そういう選手が責任をもって蹴らないといけないと思っていました」
なにも、森保一監督を恨んでいるわけではない。PKを蹴る権利すら得られなかった原因の一端が自分自身にあることも認識している。
「W杯での自分のパフォーマンスは納得できるものではなかったし。確固たる信頼が得られていなかったから。選手として実力不足だった部分は、4年間で積み上げていけたらいいなと思っています」
なぜ鎌田は“レーザーライトを浴びても”笑っていたのか
そう語る鎌田がPKに自信を持てるのは、何故なのだろうか。
それは今年6月30日まで所属していたフランクフルトでPKのキッカーを任されていたからだ。
2022-23シーズンに鎌田が蹴ったPKで有名なのは、チャンピオンズリーグのグループステージ最終節だろう。2位の座をかけた、スポルティング・リスボンとの直接対決。0-1とビハインドを負った状態で得たPKを鎌田はしっかり沈めて、逆転勝ちでの決勝ラウンド進出に大きく貢献した。
鎌田は勢いよくゴール右隅に決めた。相手キーパーは反対側に飛んだので、蹴った瞬間に決まったとわかるものだった。このPKを蹴る直前、相手チームのファンから顔に当てられた緑色のレーザーライトと、それを受けて不敵な笑顔を浮かべる鎌田の様子が話題になった。笑みを浮かべたのは、鎌田が“変わり者”だからではない。通常であればレーザーライトを照射するファンは顔を隠したり、他のファンの背後に隠れたりするもの。
なのに、PKスポットから肉眼ではっきり確認できるゴール裏の席から堂々とライトを向けてきた様子を、鎌田が滑稽だと感じたからだった。