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鎌田大地“ヤンチャ伝説”「高3で鳥栖に練習参加→腰パン叱られる」「監督何もわかってない、と言ってたら窓が…」本人が語る真相と“貫く本心”
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/08/07 11:01
ラツィオ移籍決定前、単独インタビューに応えてくれた鎌田大地。自身の伝説から移籍の話まで、縦横無尽に語ってくれた
わずかに開いていたジムの窓から森下監督が中の様子をのぞいていたのだ。
「おい大地、監督室へ来い!!」
雷を落とされたのは言うまでもない。鎌田は森下監督との日々をこう振り返る。
「監督室にトータルで3回くらい呼び出されました。普通だったら許してもらえなかったと思いますけど、森下さんは僕みたいな“ヤンチャな”タイプの人間がすごく好きという、とても寛大な人だったので。そこは救われましたよ。
もしも監督が森下さんではなかったら、あそこで干されて、僕は終わっていたでしょうね。やはり、そういう人との出会いに僕は恵まれていると思います」
なぜ鎌田は“マイナスに見られがち秘話”を明かすのか
そのような、良い人と巡り合う強運に恵まれているのは、ある意味で誤解されがちな性格とも関係していると考えている。
「99%くらいの人からはマイナスに見られがちですけど、逆に(他人よりも強力な出会いの運は)持って生まれたものなのかなと。そうやって、神様がチャラにしてくれているのかなと思っています」
この種のエピソードを、なぜ鎌田はためらうことなく明かすのか。それは、試合に出られないくらいでは腐らないという自信があるからだ。
自分はサッカー界の王道や表舞台を進んできたのではなく、陽の当たらない陰を歩いてきたタイプだと認識している。だから、試合に出られなければ、出られる実力をつけられるまで行動する。その過程では、血のにじむような努力もいとわない。
W杯後、鎌田はドイツで批判を受けていた
そんな雑草魂が役に立ったと感じられる機会はこれまでにも何度もあった。実際、今年6月3日に終わった、2022-23シーズンでもそうだ。
W杯による中断期間があったこのシーズン。カタールW杯前までの鎌田はフランクフルトで絶好調ともいえるようなパフォーマンスを見せ、『キッカー』誌によるブンデスリーガの選手採点ランキングで、全体の1位に立ったほどだった。
ところが、W杯後のシーズン後半戦、パフォーマンスの質を明らかに落とした。とりわけ、1月から3月にかけては、低空飛行を続けていたチーム状態と足並みをそろえるかのように、良いプレーが見せられなかった。このシーズン限りでフランクフルトを退団するのが濃厚だと見られていたために、ドイツメディアから「心ここにあらずの状態だから、良いパフォーマンスが見せられない」と批判を浴びていた。
採点ランキングでリーグ1位の評価を受けていた時、鎌田にはすべてが上手くいっている感覚があった。だからこそ、当時から「難しい時期もいつかは来るだろう」という覚悟はしていた。
そして、そんな時期が後半戦早々に来てしまったわけだ。