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鎌田大地“ヤンチャ伝説”「高3で鳥栖に練習参加→腰パン叱られる」「監督何もわかってない、と言ってたら窓が…」本人が語る真相と“貫く本心”
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/08/07 11:01
ラツィオ移籍決定前、単独インタビューに応えてくれた鎌田大地。自身の伝説から移籍の話まで、縦横無尽に語ってくれた
「どうして僕をスタメンで使ってもらえないんですか?」
有名なエピソードだが、多くの人に誤解されている部分がある。鎌田の直談判は、思春期の子どもが誰彼問わず反抗するかのようなものとは一線を画しているということだ。
「よく誤解されますけど、自分が試合に出られないことに文句を言いに行ったわけではないんです」
鎌田の中には“3つの観点”があった
3つの観点から、鎌田は監督の元を訪れることを決めた。
1つ目が、自分のパフォーマンスが良かったと確信を持っていたから。
練習でも、出場した試合でもその手ごたえがあった。実際、当時鳥栖のエースだった豊田陽平などは、1年目のキャンプの時点で鎌田の実力を認めていたと証言している。
2つ目は、客観的な視点で、そう判断していた自負があるから。
鎌田はその視点には自信を抱いている。例えば2017-18シーズン、フランクフルトでの最初のシーズンのこと。プロとして4度目のシーズンだったが、シーズン通算で出場はわずか4試合。それでも、あのときは自分の実力が足りていないという認識があったから、ニコ・コバチ監督(当時)に起用法について話しに行くようなことは一切なかった。
3つ目は、後述するが――森下監督と話をしにいったシチュエーションの大半には、合理性があったと鎌田は判断している。
ただ、監督に話を聞いてもらう前の時点で、大失敗したことがあった。
鎌田は当時、チームの練習が午前中だけの日でも、フィジカルコーチに頼み込み、午後にフィジカルトレーニングを課してもらっていた。ベテラン選手がそのようなことをするのは割とよくあるのだが、ルーキーでいきなりできるのは珍しい。普通であれば、鎌田という選手の意識の高さを物語る完璧なエピソードになるのだが……。
この場で、事件は起きた。
「監督、何考えてるんでしょうね」「大地、来い!!」
試合で使われない選手が、トレーナーやアシスタントコーチに、監督の起用法について不満をもらすことはよくある。
だから“あの日”も、鎌田はジムでフィジカルコーチにトレーニングを見てもらいながら、ボヤいていた。
「なんでオレが使われないんですか? 監督は何を考えているんでしょうね。監督はサッカーのことをよくわかっていないんじゃないですか!?」
いつもの調子で、軽い気持ちから文句を言ったつもりだった。
しかし、フィジカルコーチの雰囲気に少しだけ違和感を覚え、背中に気配を感じた、そのときだった……。