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大谷翔平はエンゼルス残留濃厚…それでも今オフFAで選ぶのは? 岡島秀樹が語る“異次元の活躍”の理由と気になる去就「合っているのはドジャース。でも…」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNanae Suzuki
posted2023/07/28 17:03
今季好調の要因となっているのは…
5月頃になりスイーパーが狙い撃ちされる場面もあったが、それには原因があったと振り返る。
「スイーパーというのは横に滑りながら落ちるボールなので、若干、肘を下げなければいけません。ただ、そのせいで大谷投手のフォームを観察した相手チームが、肘の位置で球種を絞ってくるようになりました。そのために配球を読まれ、ヒットにされる場面も増えていました。ただし、対策を取られていることにいち早く気づいた大谷投手は、フォーシーム(ストレート)を投げる際にもあえて肘を下げ、相手打者にわからないよう工夫していました。すぐに対策を立て、実行できるところはさすがだなと思います」
「あまり投げてほしくない」球種
前半戦を7勝4敗、防御率3.32で終え、投手・大谷にとって順風満帆のシーズンかと思いきや、不安材料も残されている。7月4日(日本時間5日)のパドレス戦で大谷は5回3分の0を投げ5失点で緊急降板。試合後「右中指の爪が割れ、加えて右中指にマメができたため」と交代の理由が発表された。その前の登板でも試合中に爪を割るアクシデントに見舞われていた。
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「指先のアクシデントというのは、指にボールがうまく引っかかっている、状態の良い証拠だと私は思います。実はそれ以上に心配していることがあります。スイーパーを多投することによる故障です。もし現在のように肘を下げなければ投げられないのであれば、あまり投げて欲しくないのが正直な気持ちです。この投げ方には怪我のリスクが伴うからなのですが、おそらくそれは本人もわかっているはずです」
曲がり幅が大きく、右バッターに対して有効な球種ではあるが、他の球種への影響も大きく、スプリット系の曲がりが少ない場面も見受けられるという。それでも、打者から遠いゾーンに曲がるボールをより投げたいと思うのは投手心理として理解できる。
スイーパー習得の相乗効果
「怪我のリスクが高いことはおそらく本人もわかっているはず。そういったこともすべて受け止めて、今の成績を残しているというのはさすがの一言に尽きますね。それも、試合の中で微調整を繰り返している。ダルビッシュ(有)投手などもそうですが、超一流の投手にしかできないことですよ」
スイーパーの習得により、両サイドに決め球として投げられるボールが増えた。その上で、三振を取りたい、出力を上げたい場面以外は力みなく軽く投げている感覚で、アメリカに渡った当初のように、最初から最後まで全力投球といったピッチングではない。長いイニングを投げることを想定し、終盤に備えているのだろうと岡島氏は語る。