「いや、ブラジル時代から時々やっていた。ただ、当時は色々なセレブレーションがあり、そのうちの一つに過ぎなかった。それは、ヴェルディでも同様だった。

　でも、清水へ移籍してからあれをやったら、クラブ関係者から『（クラブのメインスポンサーである）JALの人がとても喜んでいる』と聞かされた。それなら、やらないわけにいかない（笑）。以後、点を取ったら常にこのポーズをやるようになった」

――なるほど、そういうことだったのですね。

「清水でこのポーズをやったお陰で、いいこともあった。シーズンオフに家族と一緒にブラジルへ一時帰国するときの飛行機会社はもちろんJALだったが、座席のグレードをビジネスからファーストへ上げてくれたんだ。家族全員、大喜びさ（笑）」

――ところが、第6節ヴェルディ川崎戦で右膝を故障してしまいます。

「僕にとってもチームにとっても、非常に痛い故障だった。手術と長期間のリハビリを余儀なくされ、このシーズンはもうピッチに立てなかった。とても悔しかったけれど、どうしようもなかった」

――1994年はトップ下でプレーし、前期だけで16得点。後半はペースが落ちましたが、計22得点をあげます。

「ハセガワ（長谷川健太）とナガシマ（永島昭浩）が、2トップ。僕がその後方から前のスペースへ走り込むコツを覚え、ゴールを量産できた」

1994年の清水。前列中央がトニーニョ　©Etsuo Hara/Getty Images

――1995年の前期は清水でプレーしましたが、後期は浦和レッズへ貸し出されます。その経緯は？

「この年、鹿島アントラーズで監督を務めていたミヤモトさん（宮本征勝）が清水の監督になった。

　前期、僕は好調だったが、チームはリーグ最多失点で、14チーム中12位。後期に備え、ミマモトさんは守備強化のため鹿島からMFサントスを獲得した。また、チームの攻撃が僕の個人能力に頼り過ぎで、チーム全体で攻めるべきだと考えたらしく、チーム構想から外された。それを知ったレッズから、オファーがあった」

浦和ではなんで“自動車運転ポーズ”だったの？

――浦和では、ゴールを決めると飛行機ポーズの代わりに自動車を運転するポーズをしました。

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