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「こんなことがあってはいけない。私がスワローズの攻撃を見逃すなんて…」東京から北海道の日本ハム新球場に行ってみた私の“本音評価”
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/06/07 18:06
3月に開業したばかりのエスコンフィールドHOKKAIDO。きつねダンスでお馴染みのファイターズガールたちも大活躍だった
験直しに、またまた探索に出かけることにする。コンコースには「Wolt」の大きなバッグを背負った人がいる。席で注文すれば、そこまで運んでくれるという仕掛けだ。
私が目指したのは、クラフトビールのタンクがある「そらとしば」、よなよなエールのブルワリーレストランである。
こちらの2階はルーフトップのレストラン。開放的である。1階もあって、モニターで試合が見られるだけでなく、窓越しではあるが、試合の様子が覗ける。私が入店したのはちょうど中村悠平がセンター前に弾き返した時で、その弾道がよく見えた。二塁から本塁に突入した濱田太貴がアウトになる瞬間もよく見えた。
広島のマツダスタジアム同様、回廊型の球場は、あらゆる角度から試合が見られるのが醍醐味だ。
この飲食スペースなのだが、窓越しの最前列で試合が見られる。ただし、料金が発生する。1500円。お金を払えば、この場所でビールを楽しみながら試合が見られるわけだ。
あのファイターズガールが案内役に
ここで「ああ、なるほど」と思った。
この球場では、安いチケットを購入して入場し、いろいろな場所で楽しむのが正解かもしれない。
エスコンフィールドは、あらゆることがマネタイズされているのも特徴である。
私は試合終了後に行われる「ナイトグラウンドウォーク」のチケットを予め買っていた。こちらも1500円。
試合終了後30分をメドに集合し、ウォーニングトラックや、アンツーカーのエリアを歩けるというものである。写真も撮り放題。フィールドは、気持ちよかった。天然芝の香りが漂い、ダグアウトにも座ることが出来る。
驚いたのは、きつねダンスで名を馳せたファイターズガールが案内係を務めてくれることだ。
彼女が「芝の手入れは、ひとりで刈り込むとなると6時間がかかります」と説明してくれるだけでなく、ダグアウト前ではスマホを渡すと、撮影係まで務めてくれるのだ!
とにかく、行き届いている。
なぜ私は試合に集中できなかったのか?
このほか、この夜にはブルペンでの投球体験会も実施されていた。こちらもお金を払っていたのだと思う(列の先頭にスワローズのユニフォームを着た少年がいて、高橋奎二の投球フォームそっくりにシャドー・ピッチングをしていた。この少年、ひょっとして神宮近くの絵画館前で、いつもお母さんと投球練習をしている少年ではないかと思った)。
エスコンフィールドでは、あらゆる要素がお金に換算できる仕組みになっている。
この発想はこれまでの球場ビジネスとは違い、どちらかといえばテーマパークの運用に近いのではないか?