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「こんなことがあってはいけない。私がスワローズの攻撃を見逃すなんて…」東京から北海道の日本ハム新球場に行ってみた私の“本音評価”
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/06/07 18:06
3月に開業したばかりのエスコンフィールドHOKKAIDO。きつねダンスでお馴染みのファイターズガールたちも大活躍だった
おそらく、私がなかなか試合に集中できなかったのは、いろいろな誘惑に耐える強靭な精神を持っておらず、グラウンドではなくお店に気を取られていたからだ。
ひとつ気づいたのは、同じように場内を一周できる回廊を持つマツダスタジアムでは、あくまで野球が主役で、どこを歩いていても、野球から目を離すことはなかった。回廊の設計が内、つまりグラウンドに向いていることが要素として大きいと思う。(Number982号で、私は建築家の仙田満さんにその意図を聞いた。仙田さんは、子どもの頃から一カ所にじっとしていることが苦手で、その経験がどこでも野球が見られるという設計に発展した。素晴らしいインタビューだった)。
それに対してエスコンフィールドの回廊は、グラウンドに対してではなく、お店が並ぶ外側に向いている。この施設がモールや大型商業施設のような印象を受けるのは、そうした設計の違いから発生していると思う。
球場でそのまま“飲み直せる”
試合は最終回にスワローズが見せ場を作ったが、最後は田中正義が太田賢吾を三振に打ち取ってゲームセット。勝利のセレモニーは光の演出で、これもまたアーティストのコンサートを連想させた(私が5月にTWICEのコンサートを観たばかりだったからかもしれない)。
試合終了後の北広島駅までのシャトルバスはだいぶ待つと聞いていたので、球場内で時間をつぶすことにしたのだが、驚いたことに七つ星横丁のお店はまだ開いていたのだ!
球場内のお店といえば、試合終了時にはもう閉店しているのが当たり前だが、ここではゲームセットから飲み始められる。札幌、すすきのに戻ってお店を探す必要がないともいえる。
なんだかんだ時間を潰し、試合終了後1時間経った21時55分、シャトルバス乗り場に向かった。そこにあった掲示は……。
「シャトルバス 新札幌行き 只今60分待ち」
迷わず帰りも歩くことにした。私は22時31分の快速に乗れたが、北広島駅から札幌方面の列車の最終は快速が23時13分、普通が23時31分だった。
札幌に戻ると、かなりくたびれていた。
Apple Watchによると、この日の歩数は2万1181歩、ムーブリングは1123kcal、エクササイズリングは136分を示していた。
もしも、翌日にデーゲームがあったとしたら、しんどかったかもしれない。
この日の体験を振り返ってみると、神宮や東京ドームのように「普段使い」できる球場ではない。
それでも、エスコンフィールドへの遠征では、駅からの歩き、野球メシを超えたレベルのグルメ、マネタイズの現場まで含め、すべての「エクスペリエンス」を楽しむところに醍醐味があると実感した。
この球場がどう変わっていくのか、定期的に訪ねていきたい。
札幌に戻ってから、観光客らしく、ニッカバーにて〆とした。
いい一日だった。
(写真=生島淳)
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