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「こんなことがあってはいけない。私がスワローズの攻撃を見逃すなんて…」東京から北海道の日本ハム新球場に行ってみた私の“本音評価”
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/06/07 18:06
3月に開業したばかりのエスコンフィールドHOKKAIDO。きつねダンスでお馴染みのファイターズガールたちも大活躍だった
席は三塁側セクション134、18列15番。シートには分厚いクッションがあり、これはたいへん快適。もう、神宮には帰れない! という感じである。
しかし、この球場はシートに座っていることがもったいない。いろいろなお店が入っているので、どうしても歩き回りたくなってしまうのだ。
札幌に行く前から、毎月、TBSラジオで会うコラムニストでファイターズ・ファンのえのきどいちろうさんから、「焼肉も寿司も、球場メシのレベルをはるかに超えてるから。楽しんできてください!」と言われていたので、探訪開始。
フィールドレベルからエスカレーターでひとつ上がると、「七つ星横丁」と名付けられた“商店街”が出現し、あらゆる香りで満たされていた。どこも長蛇の列だが、これは迷う。
「こんなことが、あってはいけない」
私が選択したのは同じく2階にある「海味はちきょう」。ビールを頼みながら山盛りのいくらがぶっかけられる「つっこ飯」をオーダー。尿酸値が心配になるレベルだが、もう、食欲を抑えることができない。そうこうするうちに、試合が始まってしまった。そのとき、私はまだ「はちきょう」のカウンターにいた。
こんなことが、あってはいけない。先攻のスワローズの攻撃をこの目で見ないとは!
エスコンフィールドの誘惑は、お店の充実にある。
たとえば、通い慣れた神宮球場では車で行った時はおにぎりだけで済ませることも多いし、電車の時はビールに「じんカラ」を食べて胃袋を納得させ、試合に集中する。私はスコアブックをつけるので、食事は流れ作業のひとつである。
ところが、この場所ではお店の訴求力に抵抗することが極めて難しい。
シートに戻っても落ち着かない…
つっこ飯で腹を満たした後、シートに戻ったが、なんだか落ち着かない。2回表、スワローズは長岡秀樹のタイムリーで先制するが、走塁ミスで追加点のチャンスを自ら手放してしまう。