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「俺の記録を超えろよ」三笘薫が川崎Fの後輩・山田新の背中を押した日…大学で爪を研いだストライカーの焦燥「(宮代)大聖に負けられない」 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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photograph byMasashi Hara/Getty Images

posted2023/04/28 11:01

「俺の記録を超えろよ」三笘薫が川崎Fの後輩・山田新の背中を押した日…大学で爪を研いだストライカーの焦燥「(宮代)大聖に負けられない」<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

U-18時代はトップ昇格を逃すも、桐蔭横浜大学を経て川崎Fに“帰還”したFW山田新。同じく大卒組である三笘薫から、激励の言葉をかけられていた

 迎えた今シーズン。開幕からスタメンの座を掴んだのは宮代だったが、先に点を取ったのは山田だった。第2節の鹿島アントラーズ戦の89分。記念すべきプロ初ゴールは、相手より1人少なく、かつ1点ビハインドという危機的な状況で生まれた。

 セットプレーから家長昭博がオーバーヘッドでつないだボールに素早く反応し、相手にユニフォームを引っ張られながらも右足でねじ込む。10人になったチームを救う泥臭い同点弾が、アディショナルタイムの劇的な逆転勝ちにつながった。

 山田にとっては、忘れられない初ゴールだ。そして、ベンチに下がっていた宮代の心に火をつけるゴールでもあった。

「シンはああいうところで決めるんだなって。『負けたくない』と素直に思いました。自分ももっともっといいプレーをして、結果を出さないといけない。刺激を受けましたね」

 アカデミー時代から常に先を歩いてきたストライカーが覗かせた、偽らざる本音だった。

「俺の記録を超えろよ」三笘薫の激励

 冒頭の三笘と山田のやりとりには、実は続きがある。

 ジムでの別れ際、山田はこんな言葉をかけられている。

「俺の記録を超えろよ」

 三笘が言った「俺の記録」とは、ルーキーイヤーの2020年に自身がマークしたリーグ戦13ゴールを指している。この数字はJ1リーグの新人最多得点記録だ。来季からプロとしてフロンターレのユニフォームに袖を通すことになる後輩への、愛情を込めた激励だった。

 咄嗟に「いやいや……」と謙遜してしまった山田だったが、プロ1年目を迎えるにあたって、その数字を強く意識した。

「薫さんはアシストも10以上していた気がしますけど(笑)。そう言ってもらったからには、13ゴールを超えたいですね。それぐらいの活躍はしたいです」

 ルーキーながら今季の目標を二桁ゴールに設定し、入団会見でも公言した。その背景には、あのジムで三笘薫と交わした“約束”があった。

 偉大な先輩からの言葉を胸に刻み、山田新はプロサッカー選手としての第一歩を力強く踏み出した。

<#2、#3へ続く>

#2に続く
三笘薫や田中碧は「ほぼ家族でした」…宮代大聖が川崎Fの先輩から学んだこと「薫くんは絶対に取られない」「アオくんの後ろにくっついて…」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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