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ダルビッシュが語るヌートバー“本当のスゴさ”「異国の地でやるのは難しいことなんですけど…」球場で聞いた“大合唱”が圧巻だった
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/03/11 17:01
ラーズ・ヌートバー、25歳。来日後に覚えた日本語で一番好きな言葉は「キョウダイ」だと話していた
豊かな表情の反面、日本の習慣や文化にも進んで溶け込もうとする姿勢も忘れない。試合前の国歌斉唱では、母・久美子さんから習い歌詞を覚えてきたという「君が代」を他の選手の誰より一生懸命に歌っているのがヌートバーだ。前の回の攻撃で活躍して守備につくイニング間には、スタンドからの大声援に応え、帽子を取って深々と四方に頭を下げる。この日一番大きな“ヌーイング”が送られたヒーローインタビューのお立ち台では、右拳を突き上げて日本語で「ニッポンだいすき!みんなありがとー!」と絶叫し大歓声を浴びた。
ダル&山川が言及…ヌートバーの尊さ
アメリカから駆けつけた侍に心動かされているのはチームメートも同じだ。この日先発したダルビッシュ有がヌートバーへの思いを明かす。
「異国の地でやるっていうのは難しいことなんですけど、そういうことを全く感じさせず、自分からこの国、チームに対して飛び込んでやる、という気持ちが見えますし感じるので……。僕たちもその勇気であったりパワーをしっかりもらっているなと思います」
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ダルビッシュ自身もイランと日本の両方にルーツを持ち、現在はアメリカで活躍している。異文化の壁を乗り越える難しさを理解した上で、その壁をいとも簡単に乗り越え、自ら心を開くヌートバーの気概を感じ取っている。
真っ直ぐな思いだけでなく明るさとユーモアも忘れないのも“たっちゃん”流。ロッカールームや食事会場でも、チームメートに気さくに話しかけ、時にジョークを飛ばしているという。9日の中国戦の試合前練習中には、フリーバッティングを終えた山川穂高に、「どすこい」ポーズの指導をおねだり。自らも両足を開き、手を広げてトライしてみたものの、手のひらが自分の顔側に向いて盆踊りのようなポーズになり、山川が爆笑しながら「違う違う!」とダメ出しする場面もあった。
「チームに良い影響を与えてくれるハッスルプレーだったりコミュニケーションだったり、彼がいることによって盛り上がりますし、本当にチームにプラスになっていると感じています」と近藤は明かす。目指す世界の頂点まで、あと5試合。愛すべき“闘将”のハートが、個性豊かなチームを熱くまとめ上げている。
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