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〈たっちゃん〉ヌートバーの幸せな「日米+家族に愛されまくり」野球人生 元巨人マイコラスいわく「ラーズへのアドバイスは…」
posted2023/03/10 17:22
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Nanae Suzuki
<名言1>
あるわけないじゃん、WBCだよ? 侍ジャパンだよ?
(ラーズ・ヌートバー/NumberWeb 2023年1月18日配信)https://number.bunshun.jp/articles/-/856194
◇解説◇
今大会のWBC、世間やメディアの期待度が過去と比べても明らかに高いものがある。迎えた本番で固くなってもおかしくないところだが……1次ラウンド初戦の中国戦でまず流れを引っ張り込んだのが、ヌートバーだった。
大谷翔平が1回表、中国の攻撃を三者凡退で切って取ると、裏の攻撃でバッターボックスに入ったのはヌートバーだった。中国先発の王翔が投じた初球を迷うことなく振りぬくと、ボールはセンター前に抜けるヒットに。幸先よいジャブを浴びせると王翔の動揺を誘い、押し出し四球での先制点を奪う契機となった。
とにかく全力プレーなヌートバーのスタイル
この日のヌートバーはとにかくアグレッシブだった。3回表1死の守備ではセンターの浅い場所に落ちそうな打球を身を投げ出すスライディングでキャッチするファインプレー。これには先発の大谷翔平もオーバーリアクションで称える。4回、7回の打席ではファーストがボールをこぼすうちに全力疾走でセーフになり(うち1つは内野安打)、チーム初盗塁もマーク。加えて2つの四球を選ぶクレバーさも、メジャーの有望株と評される実力を見せた。
まるで高校球児を想起させるような走攻守での全力プレーには、東京ドームに詰めかけた4万人超のファンも万雷の拍手を送るほどだった。この試合、来日した久美子さんとチャーリーさんの両親、今やヌートバーの愛称として定着した「たっちゃん」の“語源”となった祖父の達治さんらもTVカメラに抜かれるなど、その人気は大谷やダルビッシュ有にも勝るとも劣らないレベルにまで急上昇している。
メジャーでも“覚醒間近”の成績で優勝に貢献
そんなヌートバーだが、2018年にMLBドラフトでセントルイス・カージナルスに入団。2021年メジャーデビューを果たすと、2022シーズンは打率.228ながら14本塁打40打点、強打者の指標であるOPSでは「.788」と一流選手に近い数字を残し、特にシーズン後半は出塁率.366、長打率.480、10本塁打と覚醒間近の成績を残し、チームの地区優勝に貢献した。
シーズン大詰めの時期に、久美子さんが“妙な噂”を聞いたのだという。それは侍ジャパン招集があるかもしれない、というものだった。