メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
ヌートバー母「WBCはラーズの甲子園」土まみれで全力疾走、球場が揺れたダイビング…大活躍のウラに母の直言「日本のしきたりになれなきゃ駄目よ」
posted2023/03/11 11:03
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Nanae Suzuki
「たった今、羽田に着きました」
3月8日17時過ぎ。ラーズ・ヌートバーの母・久美子さんからメッセージが届いた。
WBC日本代表メンバー入りが決まった1月下旬以降、各メディアで“ヌートバーのルーツ話”が取り上げられ、取材が殺到した久美子さんはまたたく間に有名人に。日本到着時の空港にも多くの報道陣が待ち受けていたが、疲れた表情ひとつも見せずに取材対応していた。
こんな狂騒曲が日本で起きるとは、半年前にはまるで想像できなかったことだろう。
代表入りの噂が久美子さんの耳に入ったのは、ヌートバーがカージナルスの一員としてプレーオフを戦っていた昨年10月頃。当初は「そんな可能性あるわけない」と本気にしていなかったと言うが、水原一平通訳からの電話、栗山英樹監督とのZoom面談……とあれよあれよと日本代表入りが現実になっていった。
栗山監督と水原通訳、ヌートバーの面談には久美子さんも“緊急参加”。「プレッシャーに感じてほしくはないんだけど、ラーズが歴史に残る、国外で生まれた(侍ジャパン)第1号選手になるから」という監督の発言を受けて、率直にこう感じたと言う。
「そこで改めて気付かされました。そんな大役をラーズが担うんだ……だったら日本で産んでおくべきだったと少し後悔したほど(笑)」
来日2週間経たず…なぜ人気に?
ヌートバーが日本に到着したのは3月2日だから、日本代表に合流してまだ10日ほど。にもかかわらず、練習風景やテレビの映像から察するに、まるで日本で長年活躍している選手のようにすっかり馴染んだ様子だ。
なぜこれほど早く日本代表、そしてファンの心をつかんだのか。
1月の取材時に、ほぼ初対面メンバーのチームに合流することに関して母・久美子さんは次のように語っていた。
「心配してません。ラーズはどんなチーム、コミュニティにも馴染むのだけは早いので」
事実、ベンチでは時に大谷翔平をからかい(!?)、活躍した選手を身振り手振りで歓迎、いざ試合に出場すれば全力プレーを見せて……。栗山英樹監督がかつて語っていた「100%好きになる人柄」が画面越しから伝わってくる。以下久美子さんが語っていたヌートバーについて。