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「185cmでも身長が足りないと言われる現実」“欧州組が最も少ないポジション”GK…ポルトガル1部で正GKになった中村航輔28歳が語る過酷な世界
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/02/28 11:01
2月27日に28歳になった中村航輔。2021年1月ポルトガル・ポルティモネンセSCに完全移籍。今季9月4日のファマリカン(ホーム)戦でスタメン出場。そこからリーグ戦18試合連続スタメン出場(2月末現在)
中村 プレーすることはなかったですし、チームを助けられる力は持っていなかったと真摯に受け止めています。GKは代表でもクラブでも、先発で出る立場の選手とそうでない立場の選手がいます。その差は分かっていたつもりですし、控えという立場の仕事をしていました。ベスト16のベルギー戦、目の前でクルトワを見てデカいなと思ったことも憶えています。あのサイズ(身長200cm)。もちろんゴールキーピングがすごいんですが、スケールが違って。
――クルトワは欧州GKの代表格ですが、体格という点では日本人と欧州人には遺伝的に見ても越えられない差があります。その差は埋められるのでしょうか。
中村 身長差は身長でしか埋められないんです。だから、190cm台の選手が一流と言われる域に近づいていく。僕にはその身長はありません(185cm)。違うところで勝負するわけですが、その現実からは目を背けずに、しっかりと見た方がいいと思います。
――身長の差は埋められない。欧州に来てより感じる部分もあった?
中村 そこの差は埋められないです。身長で劣るから、と言われても、その事実は受け止めるべきです。
――例えば、背がなかったイケル・カシージャス(182cm)やケイロル・ナバス(185cm)も同じ感覚だったのでしょうか。
中村 もちろん、GKは全員190cmなきゃいけないというわけではないんですが、統計的に見ると世界のトップクラスに身長のある選手が多いのは揺るがない事実。ナバスやカシージャスがいるから背がなくてもできるのでは、と考えるのはどうかなと思うこともあります。
<続く>
中村航輔(なかむら・こうすけ)
1995年2月27日、東京都生まれ。柏レイソルの下部組織で育ち、2013年にトップチーム昇格。アビスパ福岡への期限付き移籍を経て、16年からレイソルで正GKに定着。16年リオ五輪に出場。18年ロシアW杯代表に選出、本番での試合出場はなかった。21年1月ポルトガル・ポルティモネンセSCに完全移籍。今季9月4日のファマリカン(ホーム)戦でスタメン出場。そこからリーグ戦18試合連続スタメン出場(2月末現在)