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「185cmでも身長が足りないと言われる現実」“欧州組が最も少ないポジション”GK…ポルトガル1部で正GKになった中村航輔28歳が語る過酷な世界
posted2023/02/28 11:01
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Daisuke Nakashima
1年半のベンチ生活から、今季ポルトガル1部で正GKの座を勝ち取った中村航輔のインタビュー。欧州で日本人GKの道を確実に切り開いている。だが、185cmの中村は「身長差は決して埋められない」ときっぱりと言い切った。【全3回の2回目/#1、#3へ】
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「カーンはもう、永遠に見てましたね」
――長く追いかけてきた、自身の中で理想とするようなGKはいますか?
中村航輔(以下、中村) 好きなのはオリバー・カーンですね。7歳の頃、2002年ワールドカップで見てました。あのワールドカップのハイライトはもう、永遠に見てましたね。7歳でしたし、もちろんGKの細かい技術は分からないのですが、カーンはドイツ代表のキャプテン。テレビに映る機会も多くて好きになって。実際に同じことをするわけではないですが、例えばプレー外での仕草などは意識してやることもありますね。カーンほど大げさではないですが。
――カーンは技術的な部分以外にも、威圧感だったり、守備陣の一体感を作り出すような空気を持っていました。そういったエクストラの要素もGKには必要と考えますか?
中村 どうなんでしょう。単純にサッカーだけを見たら、絶対に関係ないとは思うんです。でもサッカーはそれだけではない。特に欧州のスタジアム(の雰囲気)は日本とは違います。そういう外のことまでを考えると、関係ないとは言えないですよね。
「ヨーロッパでGKの常識が変わってきている」
――現在、同じ欧州でプレーするGKで目が行く選手は?
中村 最近の推しは……。アリソン、エデルソン、クルトワだとお前見てんのかと言われそうだから、ちょっと考えます。でもやっぱりアリソンですかね(笑)。アリソンは、シュートストップ、防ぐバリエーションも含めて特別です。防ぐ形が多い。「あ、この形にいくのか」と。今まではそういうプレーは常識ではなかったものが、GKにとっての定石になってきている。いまはGKの技術というのもすぐに動画で見られますし、浸透するスピードは何年か前とは話にならないぐらい速くなっています。アリソンのプレーは2、3年後には完全に浸透しているのでは。彼は1対1のときに今まで見られなかったような形で守る。それをやり始めたのがアリソンです。
――アリソン流1対1とは。