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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「アルテタ監督の練習は毎日が試験です」冨安健洋24歳が明かす、“首位アーセナルの雰囲気”「プレミアのアタッカーでイヤだったのは…」
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byRyu Voelkel
posted2023/02/10 17:29
20試合を終え、途中出場を含めて16試合に出場しているアーセナル冨安健洋(24歳)。1月にロンドンでNumberの独占インタビューに応じた
そこに曖昧さはないという。何かを尋ねれば、数式に答えるかのように指揮官の口から明快な答えが返ってくる。たとえそれが遠回りだったとしても、選手にゴールまでの道を教える。選手としては、当然やることは明確になる。
日本や欧州で多くの監督やコーチと接してきた冨安だが、これほど明確にゴールから逆算してやるべきことを提示できる指導者には出会ったことはなかった。
プレミアで首位を走るアーセナルの中で、今季の冨安のポジションは左サイドバックと右サイドバックとなっている。当然、左サイドと右サイドでは彼の役割や立ち位置は変わってくる。
「ワールドカップ前は(オレクサンドル・)ジンチェンコの怪我もあって、リーグ戦では左サイドバック、ヨーロッパリーグでは右サイドバックでやっていました。やることは同じではなくて、左サイドと右サイドでは役割が変わる。特にボールを持っているとき、ビルドアップのときには立ち位置が変わる。左サイドのときはジンチェンコのようにボランチの位置に入って、3プラス2の状況を作ることです。ただ監督は試合中にはああしろ、こうしろと常々細かく言うわけじゃない。チームの全体像としてやるべき形があって、その中のピースのひとつとして、左サイドバックだったらやるべき形があるという。アルテタ監督と最初に出会ったときには衝撃を受けましたね。これはちょっとすごい監督だなと。ピッチ上はもちろん、ピッチ外でも怪我で苦しんでいる時にアドバイスをしてくれたりした。他の選手に対しての対応を見ていても、マネージメントも上手だなと思います」
アーセナルでも「ミトマはいい選手だな」
右サイドで、左サイドで、毎週のように多くの名手と対峙してきた。リバプールのモハメド・サラーに、今季のヨーロッパリーグではPSVのコーディー・ガクポ(現リバプール)と向き合った。ニューカッスルのアラン・サン・マクシマンや、リバプールのディオゴ・ジョタとのマッチアップでは「うまくやられたな」と感じることもあった。
プレミアのアタッカーの話をしている最中に名前があがったのが、ブライトンの三笘薫だ。
「プレミアにはいろんな選手がいる中で、薫くんとも対戦したけど、やっぱり嫌な相手だなと思いましたね。常にアクションをおこしてきましたし、ブライトンの戦術も薫くんをより活かすものだと思いました。以前のカップ戦で1点やられていましたし、その時点でアーセナルのチームメイトやコーチングスタッフたちは皆、『あいつはいい選手だな』と言っていたんです。実際にアーセナルと2回対戦して2点とっていますし、イングランドの中でも認められているんだと思います」
<続く>
冨安健洋(とみやす・たけひろ)
1998年11月5日、福岡県生まれ。アビスパ福岡のユースから飛び級でトップチームに昇格し、17歳でJリーグデビュー。その後、シント・トロイデン、ボローニャを経て、2021年8月、アーセナルへ移籍した。2022年W杯は3試合に出場。代表通算32試合出場、1得点。187cm、84kg
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