酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
WBC組の甲斐拓也と近藤健介、辞退の柳田悠岐は?「松田と違って物静かだけど…」「門田さんに黙祷」大補強ホークスキャンプ初日を観察
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2023/02/02 17:08
20年以来のリーグ制覇と日本一に向けて動き出したソフトバンク。甲斐拓也ら初日はどんな感じだった?
ホークスのアップと言えば松田宣浩が威勢のいい声を上げて、選手を鼓舞していたものだ。今年は松田の代わりに――WBCを辞退した柳田悠岐が、チームを引っ張っている。物静かだが、彼なりのスタイルで存在感を表している。
新規加入の近藤健介、有原航平、嶺井博希、オスナらも無事A組で始動した。1月31日には日本ハムの新戦力・加藤豪将が指を骨折したとのニュースが入るなど、新戦力は張り切りすぎて怪我や故障をすることも多い。指揮官にとっては「選手に怪我をさせない」ことも重要になってくる。
その中でひときわ大きな外国人選手がいる。コートニー・ホーキンスだ。
彼はメジャーリーガーではなくマイナーリーガーで、前年はレキシントン・レジェンズという独立リーグのチームにいた。昨年、独立リーグから巨人に加入したアダム・ウォーカーが活躍した影響もあって日本へと来たのかもしれないが――大きな体を動かして必死にトレーニングをこなしていた。彼にとって、こういう入念なアップは初めてではないか。
千賀がいないブルペンで必死の形相だった投手は?
選手たちは、たっぷり1時間、アップをした。すでに昼近くなって、投手陣はサブグラウンドに移動してキャッチボールを始めた。
有原航平はゆったりとボールを投げている。その横で、やはり新戦力のオスナも投げている。最年長の和田毅もゆっくり体の動きを確かめるように投げている。
“千賀滉大がいないのか”と思ってしまうのはどうしようもないことだが、新旧の顔ぶれが入れ替わることを確かめるのも春季キャンプの「味」ではある。
中継ぎ投手の嘉弥真新也は、ひときわ小柄だが、きびきびした所作が目立っている。
斉藤和巳コーチはあちこち動き回って、投手たちを見ていたが、30分ほどして「よっしゃ、ブルペン行こか!」と声をかけた。投手も、報道陣も、ファンも一斉に移動する。
今昔の思いを感じるブルペンでの仕上げ方
今昔の思いがするのはこういうときだ。私がソフトバンクの宮崎キャンプに最初に行ったのは2005年のこと。この時は、お尻の肉がぱんぱんに張った王貞治監督が率いていたが、2月初旬にブルペンに入る投手は少なかった。
さらに遡れば昭和の時代、主力選手はキャンプ前半、オフの間についた贅肉を落とすことに専念していたのだ。例えば阪神タイガースだと、遠井吾郎を筆頭に、江夏豊、田淵幸一、川藤幸三らが見事なウエストで高知県安芸市の春季キャンプ地に姿を現して「阪神部屋」という見出しがスポーツ紙の一面に躍ったものである。
しかし今、そんな選手はいない。そんな姿でキャンプインすれば、一発でB組に落とされ開幕でベンチに残ることはできない。