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「ダメなら今年で辞める覚悟」もうすぐ42歳・和田毅が早くもブルペン入り…キャンプ取材の松坂大輔もびっくり「おじさん、元気。すごいね」
posted2023/02/03 11:03
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
KYODO
福岡ソフトバンクホークス宮崎春季キャンプ2日目。この日、早くも初ブルペンに入った和田毅のボールは唸りをあげていた。
投げたボールは計53球。今月の21日に42歳となるが、投球フォームのしなやかさは20代の全盛期と遜色はないように見える。
当初はキャッチャーを立たせたままで終わる予定だったが、状態と感覚がともに良く、最後は捕手・谷川原健太を座らせて投げ込んでいた。
取材で訪れていた松坂大輔氏も「おじさん、元気。すごいね」と和田の躍動感と活力に舌を巻いた。和田自身も昨年のキャンプで見せられなかった投げる姿を盟友の前で披露できたことを喜んでいたようだった。
気づけば、一時代を築いた松坂世代で現役を続ける最後の1人。松坂、杉内俊哉、藤川球児ら名だたる同期たちが次々とユニフォームを脱ぐ中で、葛藤も少なくないはずだ。だからこそ、より緻密な準備をして宮崎にやってきた。
「体重はベスト、シーズン中に最も良かった時と同じ体重で調整できた。いい状態でシーズンに入ることができたと思う」
自主トレ期間中に行った走り込みのおかげで、体のキレに大きな手ごたえを感じている。プロ21年目のキャンプインは引き締まった表情だった。
NPB復帰の有原「改めてすごい」
そんな和田の隣でピッチング練習を行っていたのは、NPB復帰となる新加入の有原航平(30歳)だ。
「あの年齢で、このタイミングですっとブルペンに入っていける和田さんは改めてすごいと思いました。(同じくブルペンに入っていた)又吉(克樹)とも話していたんですが、和田さんのコンディションを整える能力、調整方法、トレーニングの素晴らしさを今日のピッチング練習で感じました。お手本ですよね。長くやれている方のお手本です」
2人は早稲田大の先輩・後輩の間柄でもある。和田は有原がいち早くホークスに馴染めるよう、キャッチボールを共にしてコミュニケーションを図るように努め、ブルペン入りも同日に合わせて有原の隣に陣取った。
かつて自らも経験したメジャーリーグからの日本球界復帰、そして投手として致命傷になりかねない肩肘の怪我……日本ハムでの実績は十分とはいえ、不安材料が多い後輩にさりげなく手を差し伸べていた。