酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
WBC組の甲斐拓也と近藤健介、辞退の柳田悠岐は?「松田と違って物静かだけど…」「門田さんに黙祷」大補強ホークスキャンプ初日を観察
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2023/02/02 17:08
20年以来のリーグ制覇と日本一に向けて動き出したソフトバンク。甲斐拓也ら初日はどんな感じだった?
ブルペンでは、昨年5月11日にノーヒットノーランを記録した東浜巨が勢いのある球を投げている。その横で高橋礼も滑らかなフォームで投げているし、さらにサブグラウンドに続いて嘉弥真が、仕上がりの良さを見せている。オリックスの比嘉幹貴とともに、パを代表するワンポイントリリーフ。56試合で28ホールド、イニング数は27.1回というクセの強い成績を残した。誰もが1月中の自主トレでしっかり鍛え上げてコンディションを整えてきているようだ。
コーチやトレーナーがいなくても、自分で調整ができなければ、プロ野球の選手は務まらない時代になったことを痛感する。その投手たちは60球とか80球とか決められた球数を投げ込んでいき、1球ごとにデータがとられていった。
甲斐はブルペンの端で大関と話し込んでいた
ブルペンの端では、大関友久が捕手の甲斐拓也と話し込んでいる。まだ初日だが、正捕手には気になることがあったのだろう。
甲斐はWBCにも出場が決まっている。NPBを代表する捕手だが、昨年は打撃不振に苦しんだ。さらには嶺井博希という主力級の捕手も今季から加わっている。リード面でも投手陣を引っ張らないと、本塁を守ることは覚束ないとの意識もあるのだろう。
気温は20度、サブグラウンドでは内野ノックが始まっている。松田宣浩がいないから、ノックは静かなものだ。今宮健太が軽やかにゴロをさばき、増田珠は華麗なジャンピングスローを見せた。
アップの時からユーモラスな動きをしていた新外国人のウイリアンス・アストゥディーヨが三塁を守っている。175cm102kg、どんな守備を見せるの? とは興味を惹く。その横で2年目のガルビスもノックを受ける。昨年は打撃で苦しんだが、守備は一級品だった。
メイングラウンドでは打撃練習が始まっている。サブのブルペンや室内練習場でも選手が動いている。陸上競技場ではブルペンを上がった投手たちがランニングで汗を流している。
天候に恵まれたこともあり、選手たちはキャンプ地のすべての施設を使ってトレーニングに励んでいる。大戦力と言われるソフトバンクだが、監督やコーチは、2月1日に始まったこのシーズンが、まずはできるだけ長く続くように。12球団で最後の最後まで野球を続けることができるように、と思っていることだろう。長い1年が始まった。