酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
WBC組の甲斐拓也と近藤健介、辞退の柳田悠岐は?「松田と違って物静かだけど…」「門田さんに黙祷」大補強ホークスキャンプ初日を観察
posted2023/02/02 17:08
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
ここ10年ほど、2月1日にはプロ野球春季キャンプ地にいる。今年は宮崎のソフトバンクキャンプで迎えた。改まって「おめでとうございます」と言うのも気恥ずかしいが、プロ野球は今日から新しいシーズンに突入する。
春季キャンプの始動は朝11時である。その頃に間に合うように行けばいいのだが、どうしても気が逸る。8時半過ぎについてしまった。受付でパスを受け取って外に出ると、バスが2台停まって選手たちが出てきた。多くのファンが遠巻きに集まっている。そうそう、春季キャンプと言えばこんな感じ。選手とファンの距離がぐっと縮まるのだ。歓声も上がる。
今年はPCR検査の陰性証明もいらないし、お客の入場制限もしていない。ようやくコロナ前に近付いた感じか。張本勲、上原浩治と新旧の「喝!おじさん」の姿も。華やいだ雰囲気だ。
ただ、報道陣はコロナ前のようにグラウンドレベルに降りて、選手の間近で取材することはできない。今年もスタンドからの取材になった。
王会長と張本勲の2ショット、門田さんへの黙祷
選手が出てくる2時間も前から、三塁側スタンドは多くのファンで埋まっている。なぜか? それはすぐに分かった。選手たちはグラウンドに出てくると、スタンドにボールを投げ込んだのだ。上棟式の「餅まき」を思わせるが――これを目当てにファンはグローブをもって辛抱強く待っていた。ボールを2個抱えてホクホク顔のお客もいた。
日差しが出て気温が上がる中、選手、スタッフが外野の芝の上に集結した。王貞治球団会長の姿もある。王貞治と張本勲、本塁打、安打のアンタッチャブルとも言える記録を作った世代のレジェンドが、同じ場所にいるだけで感慨深いものがある。王会長は終始バットを手放さなかった。
選手、スタッフはまず黙祷した。ホークス史上2位の安打、本塁打、打点を記録した門田博光さんに哀悼の意を表したのだ。藤本博史監督にとっては高校の大先輩でもある。
その後、藤本監督が選手たちに話をして、選手たちは投手組と野手組に分かれた。
斉藤和巳コーチの引き締まった表情、柳田は物静かだが…
投手組の中心にいたのは斉藤和巳投手コーチ。昨年、筆者は何度か話を聞いた。すでに秋季キャンプで陣容について把握していると話していたが、今日からいよいよ本番だ。厳しい表情をしているのは当然だろう。
外野でアップが始まる。トレーナーの指導で、入念に体をほぐしていく。