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英国紙が絶賛「ミトマは真のスターになれる」「ミトマはベルカンプのようだ」現地記者が思い出す“6カ月前、完全無名だった三笘薫25歳”
posted2023/02/01 17:24
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
AFLO
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試合終了のホイッスルが鳴ると、英テレビ局のカメラマンが真っ先に三笘薫の元へ駆け寄っていった。
英国のサッカー中継番組では試合後、テレビカメラマンが最も活躍した選手を画面に捉えようと追いかけ回すのが恒例。この日は、殊勲の決勝弾を挙げた三笘を執拗に追いかけていた。画面の中心にいるのは、少し照れくさそうにカメラマンと距離を取りながら、味方選手たちとハグを交わしていく三笘の姿だった。まさに主役の扱いである。
ブライトンのホームに強豪リバプールを迎えたFA杯4回戦。1−1の同点で迎えた後半アディショナルタイムに、三笘のスーパーゴールが生まれた。
フリーキックからペルビス・エストゥピニャンのクロスボールが入ると、日本代表MFは右足のアウトサイドでボールを足元に落とした。リバプールのDFジョー・ゴメスがブロックに入ったと察知すると、三笘は瞬時にキックフェイントを入れ、最後は右足のアウトサイドで押し込むようにしてボールを流し込んだ。決勝弾を叩き込むと、三笘は珍しく感情を爆発させて自軍のベンチ前まで疾走。タッチラインで待つ控え選手に抱きつこうとして地面に倒れると、そのままチームメートにもみくちゃにされた。
そしてフィールドに戻った三笘は、固く握りしめた両手の拳を何度も上下に振り、喜びを噛みしめるように控え目なガッツポーズを繰り返した。
劇的な決勝ゴールが生まれてから約1時間後、取材エリアに姿を見せた三笘は得点場面を次のように振り返った。
「キックフェイントを入れたら(相手が)跳ぶと分かっていた。集中したのはコントロールだけという感じですかね。(シュートしたところは)狭かったので、セカンドタッチで打てれば良かったんですけど、相手が来ていたのが分かったので、キックフェイントに変えました。その後はもう時間がないので、咄嗟に蹴った感じですね。あのタイミングでなければ、もうシュートは打てないので。コントロールが良かったかなと思います」
得点は、主戦場の左サイドではなく右サイドから奪った。得点の起点となったFKは、チームとして練習で繰り返してきたパターンだったという。
「フリーキックはあの形をずっと狙ってやっているんですけど、なかなか自分にボールが来なくて。やっと来たので、落ち着いて決められて良かったです。ゴールセレブレーション? ゴールが決まったら勝ちのシチュエーションだったので、あんな感じになりました」
「ミトマはベルカンプのようだった」
試合後の英メディアでは、日本代表への賛辞が溢れた。1855年創刊の英紙デーリー・テレグラフは次のように記した。