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“極秘の選挙応援”に怒った巨人…31年前、原辰徳のうますぎた弁明とは? 江本孟紀が明かす“あの政策”「野球出身なのになんでサッカーを応援してるんだ」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byShiro Miyake
posted2023/01/17 11:01
「政治家の話題って、スキャンダルぐらいしかない」江本孟紀75歳にインタビュー
「ボロクソに叩かれていたんですよ。僕はね、『原は6月に入れば必ず復活する。今批判されても気にするなと』とサンスポで2、3回書いていた。それがものすごく嬉しかったらしい。どこかで(恩を)返したいと思っていたみたいです」
結果の出ない原は極秘に長嶋茂雄宅を訪れ、地下室で素振りを繰り返していた。6月、その成果が表れる。10日の広島戦(広島市民球場)で抑えの大野豊からバックスクリーン左に逆転3ランを打つと、同日から6試合で4ホーマーと完全復活。チームも10連勝、4連勝、7連勝と勝ち続けて首位に浮上した。7月5日のヤクルト戦(神宮球場)では、9回表に伊東昭光から同点2ランを放つ。打った瞬間に値千金の一撃と確信した原は、高々とバットを放り投げた。
原が応援に来た3日後、参院選の投開票が行われ、江本は比例区の当選50枠のうち41番目で当確が出た。キャスターとしてバルセロナ五輪に訪れていた長嶋茂雄は現地から祝福のコメントを出した。
〈当選しましたか。そりゃよかった。おめでとうと言ってあげたい。彼の野球解説でも分かる通り、個性派であり、強い決断力と行動力の持ち主ですから、国政の場でもこれまでにないユニークな活動を展開してくれる予感がします。広くスポーツ界の健全な発展のために尽力してくれることを期待しています。〉(1992年7月27日付・日刊スポーツ)
「本当に長嶋さんや原のおかげですよ。あれからしばらく、順位予想では巨人を優勝にしてました(笑)」
猛抗議を食らった「スポーツ振興くじ」
晴れて参議院議員になると、江本はスポーツ界の抱える問題解決に着手した。
「当時の文部省のスポーツ政策に関わる予算はホントにわずかだった。川淵(三郎)チェアマンがね、世界ではトトカルチョの資金をスポーツ振興に使っているという話をよくされていたんですよ。サッカーくじを導入すれば税金を使わずに、収益を財源にできる。(1993年10月に)超党派のスポーツ議員連盟でプロジェクトチームを作って、検討していきました」