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“極秘の選挙応援”に怒った巨人…31年前、原辰徳のうますぎた弁明とは? 江本孟紀が明かす“あの政策”「野球出身なのになんでサッカーを応援してるんだ」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byShiro Miyake
posted2023/01/17 11:01
「政治家の話題って、スキャンダルぐらいしかない」江本孟紀75歳にインタビュー
「原です。僕も江本さんを応援しに行きたいんですけど」
オールスター休み中の原辰徳が自ら援護を買って出たのだ。
「現役のね、ましてや巨人の4番が選挙の応援しにきてどうすんだよって。頭おかしいんちがうかと思いましたよ。『気持ちだけ頂くわ。ありがとう。そんなこと言ってくれる人いないよ』って。(古巣)阪神のOBなんて1人もいなかった」
江本は丁重に断わったが、原は「長嶋さんが散歩したと聞きました。僕も偶然歩いていたことにしましょう」と食い下がった。
「事務所の運動員がまた各社に『原がどうも渋谷のハチ公前を通るらしい』と電話して(笑)。そしたら当日、車を停めて颯爽と降りてきた。今のハロウィンみたいな騒ぎになりましたよ。立ち寄ってくれるだけでいいからと言ったんですけど、私と猪木さんの間に来て、マイクを取って10分ぐらいしゃべった」
球団を納得させた「原辰徳の弁明」
現役のプロ野球選手がシーズン中に選挙応援をする――。大問題に発展しそうな事態を起こした原は翌日、球団に呼び出しをくらった。
「当然ですよ。とんでもない話ですから。球団代表に『どういうことだ』と問い詰められたら、原は『たまたま通りかかったら、球界の先輩がガードレールにつかまって必死に演説していたんです。後輩として素通りできますか』と答えたらしいんです。そしたら、代表が『それもそうだね』と納得して不問になった。原のしゃべりも上手いし、許した人も偉い」
この年、原は開幕から不振を極め、打率1割台に低迷。チームも勝てず、5月を終えた段階で首位・ヤクルトに9.0ゲーム差の5位に甘んじていた。