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“極秘の選挙応援”に怒った巨人…31年前、原辰徳のうますぎた弁明とは? 江本孟紀が明かす“あの政策”「野球出身なのになんでサッカーを応援してるんだ」 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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photograph byShiro Miyake

posted2023/01/17 11:01

“極秘の選挙応援”に怒った巨人…31年前、原辰徳のうますぎた弁明とは? 江本孟紀が明かす“あの政策”「野球出身なのになんでサッカーを応援してるんだ」<Number Web> photograph by Shiro Miyake

「政治家の話題って、スキャンダルぐらいしかない」江本孟紀75歳にインタビュー

 江本が旗振り役として立法化を進めようとすると、猛反対に遭った。毎日のように抗議の紙で事務所のFAXが詰まって使用不可能になり、プロ野球界は怪訝な反応を示した。

「12球団のオーナーにお伺いを立てに行ったら、『野球出身なのに、なんでサッカーを応援してるんだ』とかボロクソに言われましたよ。ちょうどJリーグができて、野球人気が下がると言われた頃でしたからね。意義を説明すると、最後は割と理解してくれましたけどね」

 1994年から国会に上程しようとしたが、委員会での採決に至らない。3年かかって、ようやく本会議に提出され、1998年5月に修正条項が加えられた上で可決された。

「上程するまでが大変なんですよ。議員も選挙があるたびに有権者の顔色を窺って賛成、反対の立場が変わったりするし、なかなかまとまらなかった」

「政治家の話題って、スキャンダルぐらいしかない」

 スポーツ振興くじの『toto』は2001年3月に全国で発売。初年度643億円を売り上げる。2年目から低迷するも『toto BIG』の導入などテコ入れが功を奏し、7年目以降は安定。一昨年は過去最高の1131億円を売り上げた。その収益はグラウンドの芝生化や地域のスポーツ施設の整備、五輪強化合宿の費用などに充てられている。

「『子供に悪影響がある』とか『家が破産する』とか反対していた人たちは今、知らん顔ですもん。あとになって検証するわけでもない。政治家の話題が表に出る時って、スキャンダルぐらいしかない。それはそれでいいとしてもね、世間の知らないところでちゃんと仕事をしている議員もいる。それも報道しないとね。スポーツ界もありがたく思ってますよ。口には出さないけど」

 2021年の東京夏季五輪、2022年の北京冬季五輪で日本は過去最多のメダル数を獲得。その背景に『toto』の実現に尽力した江本孟紀の存在があることを忘れてはならない。〈「野村克也論」編につづく〉

#3に続く
「誰も挨拶にこない」ボヤく野村克也に江本孟紀が直言「そりゃ来まへんで、あんた嫌われてるのに」非難・称賛を越えた“本当のノムラ論”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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