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“極秘の選挙応援”に怒った巨人…31年前、原辰徳のうますぎた弁明とは? 江本孟紀が明かす“あの政策”「野球出身なのになんでサッカーを応援してるんだ」
posted2023/01/17 11:01
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph by
Shiro Miyake
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ミスターの訪問で華々しく始まった選挙戦だったが、江本は公示日から厳しい現実に直面する。
「もうね、出馬をすぐ後悔しましたよ。普通の政党は選挙カーや運動員をたくさん抱えていますけど、スポーツ平和党は猪木さんのシンパが応援しているだけ。その人たちは猪木さんの演説について行くので、僕のほうには来ないわけですよ。党で選挙対策会議をすると、『明日は朝から千葉の駅前に行こう。ウチの若い子に運転させるから』なんて言われて、2人でトボトボ向かう。駅前で演説しても、誰も聞かないで去っていく。むちゃくちゃ寂しい。政治家を批判する人は一度、朝8時から夜8時までスタッフと2人で遊説してみてほしい」
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たった1カ月前、講演会で聴衆の食い入るような眼差しを浴びていた江本にとって、そのギャップは特にこたえた。野球は敵を負かせばいいが、選挙は相手の懐に入って共感を得なければならない。江本は得体の知れない“国民”にどう向き合えばいいのか試行錯誤した。
「公示日に選挙カーの上で演説したけど、自分みたいな者が高いところから話してもダメだと思った。人込みをかき分けて入って、その中でしゃべるようにしたら反応が全然違いましたね」
「原です。僕も応援しに行きたい」
江本は徐々に手応えを感じ始め、議席獲得の可能性も高いと報じられていた。ただ、3年前の参院選で、圧倒的な知名度と絶大な人気を誇るアントニオ猪木ですら、投開票翌日の午後5時にようやく当確が伝えられた。予断を許さない選挙戦終盤、江本の孤軍奮闘ぶりを伝え聞いた現役の大スターが電話を掛けてきた。