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箱根駅伝“まさかの”13位、シード落ちから1年…強い早稲田大は帰ってくるか? 花田新監督の改革「食事、お風呂、寝起きも学生と一緒です」
posted2022/12/31 17:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
JIJI PRESS
箱根駅伝における早稲田とは、どんな存在なのか?
卒業生の瀬古利彦氏は、こう話す。
「勝つことを期待されてるんだよね。それがプレッシャーになることもあるんだけど、『優勝』という目標があるから、高い水準を保てるってところもあるんじゃないかな」
総合優勝は歴代2位の13回。その早稲田が前回大会では13位に沈んだ。当時の4年生は入学時のリクルーティング・ランキングではナンバーワンの学年であり、10000mで27分台のランナーが3人そろっているチームだっただけに、関係者のショックは大きかった。
「目標は往路3位以内、総合5位以内」
そして、改革が始まる。
4月、瀬古氏が卒業生である花田勝彦氏を練習見学へと誘った。
花田氏は1994年早大卒。アトランタ、シドニーのオリンピック2大会に出場し、引退後は上武大学、GMOインターネットグループで監督を務めた。
そして6月、正式に駅伝監督に就任する。それから半年、12月17日に早稲田大学所沢キャンパスで開かれた記者会見での席上、花田監督の表情は明るかった。
「6月に監督に就任しまして、半年が経ちました。最初は手探りでしたが、箱根駅伝の予選会では4位で通過し、全日本大学駅伝では想定した走りでシード権を取ることが出来まして、箱根では目標を上方修正しました」
11月下旬に行われた部員の全体ミーティングでは、往路では3位以内。そして総合では5位以内がターゲットとなった。
花田監督は、6カ月間のプロセスで手ごたえを感じている。
「長い期間、質の高い練習が出来ています。チームの仕上がりとしては8割くらいでしょうか。早稲田は選手層が薄いこともあって、ケガ人を出さない、そして感染症予防が重要となってきますが、現状ではいい意味で、選手起用で悩める状態にはなっています。100パーセントに近い力が出せればシード権は取れると思っています」
花田新監督「泥臭いことをやっていこうよ」
V字回復を目指す早稲田は着実に良化傾向にあり、おそらく後年に振り返った時に、2022年は「花田改革元年」だった――と総括されるのではないか。