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「カジュアルな視聴者を、熱狂的なファンへと変える」NBAと11年の契約を結んだAmazonが抱く野望
posted2025/11/13 11:00

バスケットボール観戦は生に限る……のだろうか?
AmazonのPrime Videoの国際部門マネージング・ディレクター、アレックス・グリーンがNBAに夢中になったのは今から約8年前、2018年1月にロンドンで行われたボストン・セルティックス対フィラデルフィア・セブンティシクサーズの試合を会場で見てからだったという。イギリスに住むグリーンにとって、初めてのNBA生観戦だった。
「会場で見て、選手たちの運動能力、スキル、そしてスピードを目の当たりにして、本当に圧倒されました。画面越し、特に小さなスクリーンで見ていたときにはわからなかったことです」とグリーンは振り返った。
確かに、会場で見るからこそ得られる体験はある。しかし、いや、だからこそ、Prime VideoがNBAと11年間のメディア権利契約を締結し、2025-26シーズンから世界中に向けてNBAの試合配信をする側になった今、画面越しでも試合の臨場感を感じられるような視聴体験を提供したいのだとも言う。
「会場でのライブ観戦に勝るものはありません。だからこそ、どうすれば画面越しでもライブ感を感じさせられるのかを考えています。カメラアングルや観客の歓声など、あらゆる要素を活用して、その場にいる感覚を生み出したいのです」
この試みは、すでにNFLのライブ配信でも高評価を得ているのだが、NBAでも最高の画質、工夫したカメラアングル、観客の声援の音声などを生かすことで、臨場感のある試合配信を試みるという。
同時に、Prime Videoの画面越しだからこそ得られる視聴体験もある。日本語や英語での実況解説がつくことはもちろん、自分でもボタンひとつで選手やチームのリアルタイムなスタッツをライブ映像の上に表示させることができる。また試合を途中から見る場合には、AIによってそこまでのハイライト動画を自動作成し、試合の流れを確認してからライブ視聴に合流することができるラピッド・リキャップの機能もある。複数の試合が気になる場合にはマルチスクリーンで4試合まで同時に見ることもできる。
それだけ高性能な配信を気軽に見ることができるのも、Prime VideoのNBA配信での売りのひとつだ。月額600円でプライム会員になれば、NBA on Primeとして、レギュラーシーズンだけで67試合に加え、プレイイントーナメント全試合やプレイオフの多くの試合を見ることができる。すでにプライム会員になっている人は、追加料金を払うことなく、すぐにNBAの試合を見ることができるのだ。もし、NBA on Primeでお気に入りの選手やチームを見つけた場合には、リーグパスを購入することで、さらにディープなNBAの世界に入ることもできる。
グリーンは、そうやってNBAの魅力をより多くの人に広めることこそ、NBAと契約した11年間で成し遂げたい究極の目標なのだと言う。
「究極の目標は世界中のかつての私のようなカジュアルな視聴者を、熱狂的なNBAファンへと変えていくことですね。世界中のプライム会員にNBAを紹介し、彼らを熱狂させ、引き込み、もっと観たいと思ってもらえるか。それができればバスケットボールの人気拡大に貢献することができたということですし、私たちの成功の指標となると思います」
(文=宮地陽子 写真=Prime Video)


