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キレたサポーターが絶叫「ハリルやめろ!」“ベスト4”モロッコ代表番記者が明かす、半年前の侵入事件「なぜハリル解任というギャンブルに勝てた?」
text by
モハメド・アミン・エラムリMohamed Amine Elamri
photograph byGetty Images
posted2022/12/23 11:03
アラブ、アフリカ勢として初のベスト4、モロッコ旋風を巻き起こした。なぜハリル解任ギャンブルに勝てたのだろうか?
どちらの言い分が真実かはわからないが、当時の指揮官は適切な水分補給をしなかったからという理由で主力SBヌサイル・マズラウィも代表から長らく外し、アシスタントコーチを務めていたムスタファ・ハッジ──1990年代のモロッコとアフリカを代表する攻撃的MFだ──とも仲違いして(「信頼していたのに、二枚舌を使われて落胆した」と公言)今年3月に袂をわかっている。ハリルホジッチ監督が敵を作りやすいひとだというのは間違いなさそうだ。
モロッコには熱狂的なフットボールファンが多く、彼らは思ったことを胸にしまっておくようなことはしない。そしてW杯出場権を獲得してからおよそ2カ月後、敵地でアメリカとの強化試合に0-3で完敗すると、シンシナティまで駆けつけていたモロッコのサポーターたちがまたしても監督に怒号を浴びせた。そのうちのひとりはセキュリティの目を盗んでスタジアム内部に侵入し、ハリルホジッチを追いかけて目前で罵っていた。
それまでも当時の監督の処遇についてファンからの重圧に晒されていたモロッコ連盟は、この事態を重く受け止め、会長がラジオの生放送で次のように宣言した。
「モロッコ代表はパフォーマンスを高めるために、チームのベストプレーヤーを必要としている」
これが事実上の契約解除通告となり、8月にハリルホジッチは解任された。彼はコートジボワール(2010年大会)、日本(2018年大会)、そしてモロッコ(2022年大会)の代表をW杯に導きながら、いずれも本大会前に解任されている。唯一、2014大会でアルジェリアを指揮して16強に残っているのだから、手腕は確かなはずだが。
モロッコ“国内ナンバーワン”の新監督
後任に指名されたワリド・レグラギはフランス生まれの元モロッコ代表DFで、指導者としてはウィダド・カサブランカで国内リーグとCAFチャンピオンズリーグの二冠を果たしたばかりだった。