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[60年ぶりの連覇ならず]フランス「翻弄されたレ・ブルーと誇り高きエムバペ」
posted2022/12/22 07:01
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
「われわれはエネルギーの面で(アルゼンチンに)劣っていた。理由はいろいろあるが、困難な状況が様々な後悔を生んだ」
アルゼンチンとの決勝の後、記者会見に現れたディディエ・デシャン・フランス代表監督は、淡々とした表情でそう語った。フランスはアルゼンチンに延長・PK戦の末に敗れ、1958・'62年のブラジル以来となる史上3度目のワールドカップ2連覇の偉業達成を逃した。
「素晴らしい大会だったが、最後の瞬間に幸運はわれわれに微笑まなかった。目標に限りなく近づきながら、それに触れることができなかった。さまざまな感情が去来し、最後に残ったのは悲しさだった」
決勝のフランスは、明らかに変調をきたしていた。試合前、通路に整列したときから、アルゼンチンのリオネル・メッシ主将がリラックスしたしぐさを見せているのに対し、ユーゴ・ロリス主将の表情は強張っていた。そして試合が始まってからも、動きがぎくしゃくしていつものスムーズさと強度がない。アルゼンチンの選手たちが、気力を前面に出しながらフランスに圧力をかけてくるのとは対照的だった。
「よくなかった理由はいくつかある。何人かの主力選手のエネルギーが足りなかった」とデシャンは言うが、フランス代表はチーム全体が健康状態の問題を抱えていた。コロナともインフルエンザとも言われているが、詳細は明かされていない。それでも前日練習には、怪我で出場不能のカリム・ベンゼマとリュカ・エルナンデスを除く全員が顔を揃え、問題は解決したかに見えたのだが……。デシャンが続ける。