「ヤクルトは個々の選手がなにをやるべきか理解していましたし、それが“線”になっていた。また勝ちに貪欲な姿勢を感じましたね」

　そこまで言うと、石田は珍しく語気を強め、こう口にした。

「ただ、うちのチームもメンバーを考えれば絶対にそれができるはずなんですよ。だから来年は楽しみだなって思っているんです」

石田の選択に感じた来シーズンに懸ける想いの深さ

　また常勝を目指すべく、チームの雰囲気もいいという。

「誰もが自分のことよりもチームに目が向いていますし、仲間を盛り上げたり鼓舞する選手が多くなってきて、かなりいい影響が出ていると思います。ただ、それだけではなくチームとして反省すべき点を反省し次に活かせれば、もっともっとレベルアップできると思います。そのために僕も声掛けとかを積極的にやっていければなって。あと一歩のところまでは来ていると思うので」

　目指すは25年ぶりの優勝と日本一。来年30歳になる経験豊富な石田の献身は、言うまでもなく必要不可欠だ。

　この取材後、石田は契約更改を行った。球団は、順調に行けば来季中に国内フリーエージェント権を取得する石田に3年契約を打診したが、本人はこれを固辞している。石田は会見で「甘えじゃないですけど、そういう気持ちになってしまう。来年しっかり頑張る理由付け」と説明し、単年での契約を選択した。

　いろいろな捉え方はあるとは思うが、石田とこれまで接してきた経験からすると、本人の選択からは来シーズンに懸ける想いの深さが感じられる。先発で投げる喜びと責任の重さを知り、そしてリリーフの過酷さを肌で知る石田は投手陣の中心人物であることは間違いなく、ぜひローテーションの一角として大輪の華を咲かせてほしいものだ。

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