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「なにをしても調子が戻らない」→先発再転向で7勝4敗、石田健大29歳が“復活”できた理由「“メンタルは安定している”と言われていたが…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2022/12/19 11:01
コロナで約2カ月の離脱があったものの、7勝4敗、防御率2.95という成績を残した石田。今季について本人に話を聞いた
ストレートが走りカットが活きると、石田の持ち球であるチェンジアップも相乗効果を発揮するようになった。
「当然、真っすぐが行っているからチェンジに手が出る。また右打者に対し、インコースに攻めるボール(カット)がひとつ増えた分、バットが早く出てくれて、外のボール(チェンジ)で空振りさせたり打ち取ることができたと思うんです。いずれにせよ左右どちらに対しても近め(内角)のボールは大事だと思いましたし、そのなかでもっと両サイドのコントロールがつけば、さらに余裕をもって投げられるのかなって」
正直、楽しいなって思って投げていました
また先発とリリーフの一番の違いと言えば同じ打者と何度も対戦するということだが、その試合全体を見る感覚も投げるたびに研ぎ澄まされていった。
「毎試合、真っすぐが軸になるわけですけど、時には意図と反して高めに浮いたり、中に入ってホームランを打たれることもありました。ただ、そこへ投げないと次の打席はもっときつくなるんです。例えば真っすぐを投げず変化球で打ち取っても、次の打席で苦しくなってしまい試合の大事な中盤以降に失点してしまう。そこはキャッチャーとコミュニケーションを取りつつ、うまく引き出してもらったなって感じですね」
どこか楽しそうに、石田はそう語った。リリーフとして出力を開放し要所を抑える石田も頼りがいがあったが、今季のピッチングの内容やバランスを見るかぎり、やはり生粋の先発投手だなと感じられた。そう問うと、石田は納得したように頷き答えた。
「そうですね。正直、楽しいなって思って投げていました。僕はボールが速いというわけではありませんが、この球速帯で両サイドを突くのが持ち味だと思っていますし、それがハマれば面白いし、次はこうやって抑えてやろうって引き出しが増えてくるんですよ」
潤いを感じる張りのある声。「自分のポジションはここだ」という石田の想いが伝わってくる。