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「なにをしても調子が戻らない」→先発再転向で7勝4敗、石田健大29歳が“復活”できた理由「“メンタルは安定している”と言われていたが…」

posted2022/12/19 11:01

 
「なにをしても調子が戻らない」→先発再転向で7勝4敗、石田健大29歳が“復活”できた理由「“メンタルは安定している”と言われていたが…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

コロナで約2カ月の離脱があったものの、7勝4敗、防御率2.95という成績を残した石田。今季について本人に話を聞いた

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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 先発として、まっさらなマウンドに立ちシーズンを投げ切ることの喜び。2017年以来、じつに5年ぶりに先発だけの登板を果たした横浜DeNAベイスターズの石田健大は、今シーズンを次のように振り返る。

「やっぱり1年を通して一軍で先発のポジションを守るというのは誰もが目指している場所ですし、そこで仕事ができたのは自分としてはよかったですし、成長できたと思います」

 充足感を帯びた表情で石田はそう語った。今季は15試合を投げ7勝4敗、防御率2.95。この数年、チーム事情で先発と中継ぎを兼任するなど難しい仕事をこなしてきた石田だったが、晴れて先発として存在感を示すことのできた1年間だった。

先発調整は体の部分でついてこない時期が長かった

「とはいえ、数字だけ見ると勝ち越しているのでいいように見えますけど、まだまだピッチング感覚に物足りなさはありましたし、クオリティスタートできている試合も少なかったので、今後もやらなければいけないことはたくさんあるなって」

 2020年シーズンにはリリーフ陣の中心として50試合を投げた石田である。やはりシーズン前の準備期間、先発として調整をするのには苦労したという。

「先発の調整方法は頭ではわかってはいるのですが、なかなか体の部分でついてこない時期が長かったんです。中継ぎをやってきて体の使い方はもちろん、投げ方も先発だとぜんぜん違うなといった感覚だったので、そこを戻すのは時間が掛かりました。出力も中継ぎの方が当然出ますし、先発だとそこを抑えなければいけない。どれだけ抑えながら維持をするのか。そこはすごく考えてピッチングしましたね」

 ピッチャーの肉体は精密機械だ。先発とリリーフでは求められる投球内容は異なり、調整方法は言うまでもなく違う。しかし石田はこの数年、その困難を極めるコンディショニングを繰り返しながらチームに貢献してきた。その苦労は他のピッチャーとは異なるものだったはずだ。しかし石田はチームのオーダーに従い黙々と投げ、ついに今季3月30日の中日戦(バンテリンドーム)で、先発として956日ぶりに白星を飾った。7回を2失点、無四球で終え、また打席ではタイムリーヒットを放った。

【次ページ】 今季のピッチングで鍵になった“メンタル”

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