「ずいぶん時間が空いていたんだなと思いましたが、素直に嬉しかったですよね。ピッチング以外のところでも勝利に貢献できましたし」

2017年日本シリーズ第5戦にも先発した石田　©Naoya Sanuki

今季のピッチングで鍵になった“メンタル”

　石田いわく、今季のピッチングで鍵になったのは“メンタル”だという。ふと昨季のことを思い出す。石田はシーズンを通し調子が上がらずファームにいることが多かった。ピッチングの詳細なデータを見ても調子がいいときの数字と遜色はなく、またキャッチャーの戸柱恭孝からも「いいボールが来ている」と言われていた。なにが悪いのかわからない。石田が導き出した結論は、非科学的ではあるが“気持ち”だった。

「あのときはなにをしても調子が戻らない状態で、これはメンタルの部分だなって思ったんです。向かって行く気持ちや割り切りみたいなものができていなかったし、アドバイスをもらっても自分の身にするところまでは届いていなかったのかなって」

　今季は、遠藤拓哉メンタルスキルコーチにケアをしてもらないながら、いい状態を保つことができたという。

「遠藤さんからは『元々メンタルはすごく安定している』と言われたんです。ただ状況に慣れてしまうとスッと練習に入ってしまうとか、何て言うか気を抜くじゃないですけど、そういう瞬間が絶対にあるから注意しろ、と。集中して入り過ぎてしまうのもよくないし、抜け過ぎてもダメ。中間のところにいるのが一番いい状態だと話してもらい、そこは年間を通して練習や試合で意識することができました」

ストレート、カットボール…本人の感覚は？

　マインドのアクセルとブレーキの微細な力加減を学んだ1年間だった。それに付随し今季のピッチングといえば、切れのあるストレートを軸にしながら昨年から使い始めたカットボールが要所で活き、先発として幅のある内容で投球することができた。

「真っすぐはいい感覚がありました。自分が一番求めてきた力感のないボールでファウルが取れるようになりましたし、それができないと厳しいなと改めて思いました。カットに関しては大きかったですね。使えるボールなのはわかっていましたし、あまり頼るのはよくないんですけど、本当に困ったときに投げると、なおさら有効だなと感じました」

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