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「まさか“本田圭佑”の横でW杯を実況するとは…」ABEMA中継で話題の寺川アナが“ホンダ解説”を振り返る「麻也って呼んでしまった」
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byAtsushi Tokumaru
posted2022/12/16 11:02
テレビ朝日入社13年目、この12月に35歳になる寺川俊平アナアナウンサー。本田圭佑とW杯中継を担当するという大役を務め上げた
――確かに本田さんの考え方がよく伝わる解説でした。
寺川アナ そうですね。印象に残っているのはコスタリカ戦の中継で「(コスタリカ代表の)名前がわからないから、背番号で呼びます」と言ったことです。一見、短絡的に捉えると相手を小馬鹿にしているように感じた方もいたかもしれませんが、実は全然そんなことなくて。ドイツやスペインは有名な選手が多いですが、コスタリカには初めて観る選手が多かったはず。名前を言われてもすぐに伝わらないと思ったからこその判断だったんだなと。そういった“ライン設定”はすごく上手だと思いました。
――選手の呼び方で言えば、日本代表の選手をあだ名で呼んだり、「〜さん」付けしたことも話題になりました。実況者としてはどうだったんでしょう(笑)。
寺川アナ 釣られちゃいましたね。おそらく、クロアチア戦の時に吉田麻也選手のことを私も「麻也」と何度か言ってしまっていますし、どこかで「さん」付けした選手もいたはずです(笑)。ただ、本田さんがうまいなと思うのは、ちゃんと中継の中でその意図を説明しているところです。知っている選手はあだ名、話したことのない選手は「さん」を付けますと、エクスキューズした上で喋っているところに丁寧さを感じました。視聴者のことを意識している様子は端々に感じましたね。
『ギュンドアン、うざいなぁー』に“神フォロー”
――本田さんの準備を見て、寺川アナ自身の準備に変化はありましたか?
寺川アナ ドイツ戦はいつもの日本代表戦とあまり変わりませんでした。ただ、そのドイツ戦で本田さんがすごく質問をしてくる方なんだと気づいたんです。それに応えられないと場がしらけてしまいますし、私が出す情報も説得力が失われてしまう危険性がありました。そういった意味では、ドイツ戦は綱渡りでしたね(笑)。
コスタリカ戦以降は、ある選手が普段はどのクラブでどういう起用法をされていたなど、たくさん情報を詰め込むよりも、より深く理解することを意識しました。ドイツ戦で学んだことを自分の中に落とし込む作業をしていました。
――ドイツ戦では「ギュンドアン、うざいなぁー」が話題になっていましたね(笑)。
寺川アナ サッカーをやっていた人ならすぐに褒め言葉だとわかると思うのですが、そういう感覚的な本田さんらしい言葉もポンポンと出てきます。でも、それはこちらとしてはどんどんきてくださいという気持ち。その後に「なるほど、かなり嫌なプレーをしてきている」と補足しましたが、そういった瞬時の変換は大事な役割だと思っていました。