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「まさか“本田圭佑”の横でW杯を実況するとは…」ABEMA中継で話題の寺川アナが“ホンダ解説”を振り返る「麻也って呼んでしまった」
posted2022/12/16 11:02
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph by
Atsushi Tokumaru
――カタールW杯では本田圭佑さんとの実況・解説コンビが話題となりました。本田さんとタッグを組むと聞かされた時はどんな心境でしたか。
寺川俊平アナウンサー(以下、寺川アナ) 9月ごろにW杯の中継を担当することが決まり、本田さんが解説を務めることは後になって知りました。W杯で実況したいという思いでキャリアを進めていましたが、まさか日本代表のレジェンドである本田さんの横に座って実況する日が来るとは思っていませんでしたね。しかも、この大会で私が最初に放送席に座ったのが大事なグループステージ初戦のドイツ戦。こんな人生もあるんだなと思ったことを覚えています(笑)。
――本田さんとは年齢が1つ違いと同世代ですね。初めて対面した時の印象を教えてください。
寺川アナ 顔合わせをしたのは、ちょうどW杯が始まる1カ月前くらいでした。第一印象はとても気さくな方だなと。あとは、こちらが聞いたことに対してすごく真摯に考えて言葉を返してくれる人だと思いました。「ご一緒させてもらいます」と挨拶をさせていただくと、「よろしくお願いします」と丁寧に返してくださって。
打ち合わせでは、本田さんが今の日本代表をどう思っているかを喋ってもらいたいと伝えました。また、W杯で戦う日本代表を後押しするような熱さがある放送にしたいという思いも。すぐに「わかりました」と了承いただいたので、その方向で間違っていないんだと自信がもてました。
本田圭佑の準備「カナダ戦で練習していた」
――ドイツ戦の前に話をする機会はあったのでしょうか?
寺川アナ 本田さんが(ドバイで行われた練習試合の)カナダ戦を観戦されると聞いたので、横に座らせてもらいました。本田さんは知り合いの方と「“これがチャンスになる”ということをしっかり言葉で表現できたら面白くなる」という話をしていて、その感覚を掴む練習をされていました。「お!」となる場面で瞬間的に言葉に出すような感じです。
サッカー中継は、解説者が視聴者よりも先に言葉でその後の展開を表現できると、観ている人がのめり込みやすい。瞬間的に起きたことだけではなく、その後に起こることへの期待感や絶望の可能性を示唆することで、画面を注視させることができます。そこに早くから気づき、初解説に向けて準備してくださっていることを知って、改めて勘所がいい方だなと。何事に対しても真剣だからこそ、そういうことを掴めるのかなと感じました。カナダ戦で一度、お話ができたことは大きかったですね。
――“努力の人”だけあって、本田さんは用意周到だったんですね。
寺川アナ 試合前にはこれまでの戦いぶりをしっかり予習されていました。あとは、本気で世界1位の監督になろうと思っている方なので「自分が監督だったらどう考えるか」をしっかり落とし込んで試合を観ていらっしゃいました。監督目線で目の前のプレーを解説いただけたので、面白い切り口の話題が多かったのだと思います。