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「自分が蹴るべきだったのか…」三笘薫が“涙のPK”で背負い込んだ責任と後悔…29歳で迎える4年後は「チームを勝たせる存在に」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2022/12/06 17:29
PK戦までもつれ込んだクロアチアとの決勝トーナメント1回戦。三笘薫のキックはGKドミニク・リバコビッチにストップされた
自分を責めた三笘薫「悔しさしか残らない」
投入された直後の69分には、パシャリッチとの1対1からドリブルで仕掛ける。ふたつ目の持ち出しが大きくなってしまい、ラストパスをつなぐことはできなかったが、この日もビッグプレーをやってくれるのでは、との予感を抱かせた。しかし、グループステージの3試合で見せたパフォーマンスとこのドリブルで、クロアチアは警戒心を最大まで上げたのだろう。そこから先はダブルチームで対応されることが多くなる。
「自分が行ききれれば。自分のミスも多かったですし。相手がふたりきても、行ききらないといけないので。1対1のところもありましたし、そこで行けなかったというのは……。ボールを受けたらドリブルで仕掛けようと思っていましたし、守備では左サイドからやられないようにしていました」
それでも、延長前半には決定機を生み出す。自陣からドリブルで持ち出し、左サイドから徐々に中央へコースを変えていき、ペナルティエリア手前から右足を振り抜く。強烈な一撃が相手GKを襲うが、セーブされてしまった。
「シュートのところも、簡単にセーブされるようなものだったので、もっと精度を上げないといけないです」
流れのなかで得点できず、PKを決められなかった。悔しさ、歯がゆさ、物足りなさ、情けなさといったあらゆる種類の負の感情に、三笘は襲われているようだった。
「自分の役割はまっとうしようと思いましたけど、悔しさしか残らないですし……いろんな人が、スタッフもそうだし、ベテランの選手たちも含めて思いがあったなかで、自分が蹴るべきだったのかな、というのはちょっと思います」
試合後の選手たちから、PK戦のキッカーを責める声は一切聞かれなかった。長友佑都は「勇気を持って蹴った選手たちを讃えてほしいです」と話している。
キッカーを務めた三笘にも、そうした思いは伝わっている。だからこそ、彼は自分を責めるのだ。