Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

[采配の裏側]森保一「胆力がもたらした逆転劇」

posted2022/12/06 15:02

 
[采配の裏側]森保一「胆力がもたらした逆転劇」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama/JMPA

「戦術の天才」「今大会で最も勇敢な采配」など、世界中が優勝経験のあるドイツとスペインを撃破した指揮官を称賛した。新たな歴史を築いた日本代表監督の采配ぶりと人物像を描く。

 堂安律と三笘薫の投入からわずか6分間。グループステージ最終節のスペイン戦は、まさに電光石火の逆転劇――。

 大金星をあげたドイツ戦の再現のような展開に、ハリファ・インターナショナル・スタジアムのスタンドも、記者席も、興奮に包まれた。62分には前線のインテンシティを落とさないように、疲れの見え始めた前田大然に代えて浅野拓磨を送り出す。

 だが、それ以上に唸らされたのは、68分の采配である。

 スペインがジョルディ・アルバ、アンス・ファティを投入して日本の右サイドからの攻勢を強めようとすると、森保一監督はすかさず冨安健洋を右ウイングバックに送り込み、相手の反撃の芽を摘み取ってしまったのだ。

「リードしたらトミの力を借りて試合を締めようということは考えていました。起用については悩みました。3人のセンターバックがイエローカードをもらっていたので、どこまで我慢すべきかと。退場者が出るかもしれないなかでの決断だったので難しかった。交代を決断したのは、スペインが左サイドの攻撃を強めるカードを切ろうとしていたからです。守備をしっかり固めて相手の攻撃を受け止め、ボールを奪って攻撃に転じたいと」

 この選手交代に、指揮官の強みが詰まっていた。

 最善の準備と冷静な判断、そして決断力である。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 3607文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

関連記事

森保一
堂安律
三笘薫
前田大然
浅野拓磨
冨安健洋
南野拓実
吉田麻也
カタールW杯
ワールドカップ
ロシアW杯

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ