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「“ミトマの1ミリVAR”を元審判が神レベル解説」ブラジルの“日本vsスペイン報道”がスゴい+やっぱりカオス「忍術ナルト魂だ!」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGiuseppe CACACE/AFP/JIJI PRESS
posted2022/12/04 11:01
三笘薫の「あの折り返し」を徹底解説するなど、ブラジルでの「日本vsスペイン」の報道はフットボール王国たるクオリティだったようだ
後半3分、伊東純也が敵陣右サイドで相手ボールを奪うと、堂安が中へ切り込んで左足で強烈なミドルシュート。これがGKウナイ・シモンの手を弾いてゴールに飛び込んだ。アナウンサーが「ドアーンが見事なシュートを決めた。日本、同点!」と叫ぶ。ポルトガル語では単語の最後の母音にアクセントが付くので、「Doan」の発音はこうなるのだ。
「日本のカテナチオが機能していますね」
さらにその3分後、日本は右サイドの深い位置から堂安がクロスを入れ、前田大然が懸命に伸ばした足は届かなかったが、その外側にいた三笘がラインぎりぎり(1ミリほどだったとされている)で折り返し、これを田中碧が体で押し込んだ。
三笘が折り返したボールについて、アナウンサーは「ゴールラインを割っています」。しかし、少し上からの映像が出ると、元国際審判のサンドロが「これはラインを割っていませんね」と明言。VAR判定の結果、田中のゴールが認められて日本が逆転した。
アナウンサーが「何という試合、何という逆転でしょう」と興奮して叫ぶ。
その後、スペインが攻め続けるが、日本は頑として守備ブロックへの進入を許さない。アナウンサーが、「日本のカテナチオが機能していますね」と伝える。
後半25分、コスタリカがドイツを逆転する。アナウンサーは、「このままなら、日本が1位でコスタリカが2位。元世界王者のスペインとドイツが揃って敗退します。何というクレイジーなグループ、クレイジーなW杯でしょう」と絶叫する。しかし、その3分後にドイツが追いつき、順位は日本、スペイン、コスタリカ、ドイツの順となった。日本は5-4-1の布陣で徹底的に守り、その一方で時折、三笘、伊東がサイドを突破して浅野拓磨に合わせようとする。
その後もスペインが攻め続けたが、吉田をはじめとする日本の守備陣が奮闘。試合終了の瞬間、アナウンサーは「日本がグループ1位、2位がスペイン。ドイツは3位で敗退です」と高らかに叫んだ。
PVCは「ドイツのフットボールが、危機的な状況を迎えた。(トーナメント方式で行なわれて1回戦で敗退した1938年大会を除いて)2014年大会まで一度もGSで敗退していなかったが、前大会に続いて2大会連続でGSで敗退してしまった」とコメントした。
「審判の笛」コーナーで三笘のプレーを詳しく解説
試合後、SporTVはこの日行なわれた4試合を振り返る2時間番組を放映した。
この中で、ほんの数時間前まで日本の敗退を予想していた解説者たちが、「ドイツ戦に続いてスペインをまたしても逆転で倒し、GSを首位で突破したのは見事だ」などと褒め称えた。
また「セントラル・ド・アピット」(審判の笛)というコーナーで、サンドロが日本の2点目に結びついた三笘のクロスについて詳しく解説した。