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「色々と言われているのを見て…」田中碧はなぜ“怒り”を口にしたのか? スペイン撃破弾を呼び込んだ信念と反骨心「神様がご褒美を」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2022/12/02 17:38
スペイン戦後、充実した表情を浮かべる田中碧。多くの批判や逆境に立ち向かい続けてきた先に、最高の「ご褒美」が待っていた
「ああやって防戦一方の展開になると、マイボールの時間帯がほしい、自分たちがボールを動かして時間を作りたい、とみんなが思うもの。そこで自分が奪ったときには落ち着いて、誰につけたら時間ができるか、考えながらやっていました。出たらできる自信はあったし、相手を見ながら味方にパスをつけられるのは自分の特徴でもあるので、相手がスペインでもできると立ち上がりから感じられた。あとはもう、自信もってやるだけでした」
「残るんじゃないか…」仲間を信じて走った田中碧
0対1で折り返した後半開始から、森保一監督が動く。三笘薫が長友佑都に代わって左ウイングバックに入り、右シャドーが久保建英から堂安律になる。選手交代をきっかけとして、より高い位置でのボール奪取を意図した。
果たして、48分に前線からのプレスがハマり、堂安が豪快な左足シュートを突き刺す。谷口はドイツとの初戦を思い返していた。
「律のシュートが入って僕らの空気も会場の空気も、ドイツ戦を彷彿とさせるようなものがあった。空気が変わったなというのはすごく感じたので、『これはいけるぞ』と」
1対1に追いついた直後だった。堂安がペナルティ内右からグラウンダーのクロスを入れると、ゴール前を横切ったボールに三笘が食らいつく。ゴールラインをほとんど割りそうなボールをスライディングで折り返すと、ボランチの田中碧が飛び込んできた。
「(伊東)純也くんからパスをもらって律へ出したときに、律からの折り返しでワンチャンあるかなと思ったんですけど、律も上げるだろうなと思ったし、(前田)大然くんと薫さんがいたので何とか残るんじゃないかと。で、薫さんがうまく残してくれた。あそこまで入っていくのを信じてやり続けた部分もあったので、それが良かったと思います」
田中はドイツとの初戦に先発したが、71分に交代した。自身に代わって出場した堂安の同点ゴールと浅野拓磨の決勝点は、ベンチから見守った。