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「この監督じゃダメだと思うなら、協会にぶつけてくれて構わない」森保一監督が吉田麻也を呼び出した日…“歴史的番狂わせ”の1年前
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2022/11/25 17:25
“歴史的番狂わせ”…海外メディアに称賛された森保一監督の采配。その7カ月前に森保監督が語っていたこととは?
「日本代表の過去を振り返ってみても、やられるパターンってサイドを破られるとかボールを放り込まれるとか傾向があって、逆に中央突破でやられたことってあまりない。岡田(武史)さんが南アフリカワールドカップで横幅を抑えた守備は、対戦相手もかなり嫌がっていたように見えました。ゴール前の守備力ももちろん上げていかなきゃいけないですけど、一つ前のボールの出どころを止めたいと考えました」
戦術を短時間で落とし込み、1-1に追いつかれながらも最後の最後、浅野拓磨のシュートがオウンゴールを誘って振り切った。そして前の試合でミスをした柴崎を終盤に投入している。ゴールを奪いに行くその強いメッセージによってネジがもうひと巻きされ、あのゴールが生まれた。
「柴崎をよく使いましたね、とも言われましたよ。その理由は至ってシンプル。気持ちを切り替えて練習でいいプレーを見せてくれていましたから。ミスは誰にでも起こります。ひきずるのではなく、次を良くする、その分を取り返すためのプレーを表現してくれたことがうれしかった。チームにも素晴らしいメッセージになりました」
ミスを引きずることなく、次へ。
森保は己に重ねていた。判断ミスを認めたうえで吉田に自らの覚悟を伝え「次を良くする」ことだけを考えた。もっと広く言えば、チーム全体がその意識になっていた。2敗目を自分たちのミスと捉え、目の色を変えて勝ち点3を奪おうとした。その先に、起死回生の連勝ロードが待っていた。