森保一の表情が一瞬、ほころんだように見えた。
「ここに入りそうだな」
カタールワールドカップの組み合わせ抽選会。第1ポットのスペイン、第2ポットのドイツが入ったグループEに「JAPAN」の名が呼ばれると、心でつぶやいたとおりの展開に思わず興奮がのぞいた。
優勝候補に挙がる欧州の列強2カ国との同居はすなわちノックアウトステージ進出の確率を下げることを意味する。顔をこわばらせてもおかしくなかったが、日本人指揮官の反応は真逆に近かった。
「ワールドカップに出てくる国は強豪ぞろい。どこであってもそんなに変わりはないとは思います。ただ世界のトップ・オブ・トップとやってみたいとは考えていました。なぜなら日本サッカー協会には2050年までにワールドカップで優勝するという目標があるからです。我々が今回ベスト8以上と言っているのも、その位置にいないと優勝のチャンスが巡ってこない。優勝経験のあるスペイン、ドイツにも勝っていく、勝ち点を挙げていく。そうでなければベスト8以上も2050年までの優勝もかなわなくなってくる。その意味でも“最高のグループ”だと捉えています」
強がりでも何でもない。虚勢を張る人でもない。後がない状態で勝ち抜いたアジア最終予選の戦いがチームの可能性を高めたと感じたからにほかならない。
これからを語るには、これまでを知る必要がある――。
「試合の勝敗は別として、(最終予選を)振り返ったときに改善点はあるものの、最初のオマーン戦以外はそんなに悪くなかったと思っているんです。試合の流れも、試合に向けたモチベーションも。あのサウジアラビア戦もそうでした」
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています