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吉田麻也「監督、確認しましょう」“W杯初キャプテン”が決戦2カ月前に提案していた“システムの変更”「相手が3バックだった場合…」
posted2022/11/25 17:15
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
日本代表主将・吉田麻也としてW杯初陣のドイツ戦は、森保ジャパンにとっても、日本サッカー界にとっても大きな価値ある勝利となった。主将として迎えた初のW杯と初勝利を挙げて、どのような心持ちだったかと尋ねられた吉田は小首を傾げながらこうこたえた。
「いや、最高のはずなんですけどなんか落ち着いてますね、なぜか」
そんな自分の状態は想定外、と言いたげである。
僕はどうあがいても長谷部誠にはなれない
「まあ試合前から落ち着いてて、必要以上に高ぶらないし。なんか、いつもの試合なわけではないけれど、やっぱり3回目のW杯だからやるべきことに集中できてたということで、(宿舎からスタジアムに向かう)バスに乗ってるときからこれはいけるなーって感覚があったので、自信というか良い心理状態でした」
主将としての自分に気負うこともなく、いち選手としてのメンタルも申し分ない状態で試合に向かうことができた。
今や吉田は日本代表のまぎれもない主将であり、プロサッカー選手としてもオランダ、イングランド、イタリア、ドイツと渡り歩いて来た確固たる実績がある。この夏に移籍したドイツ1部シャルケでは、最初の公式戦からキャプテンマークを巻いて出場した。ドイツ語もできず、ドイツで公式戦をしたこともない状態だった。だが、「経験をリスペクトしてもらえている」と自然に自分の立ち位置を受け入れた。
そんな吉田もW杯では今回、初めてキャプテンマークを巻いた。思い出されるのは前回ロシア大会でのことだ。前主将長谷部誠の代表引退について聞かれると涙が溢れた。
「本当に素晴らしいキャプテンで……。7年半、彼と一緒にやってきましたが、あれだけチームのことを考えてプレーできる選手は少ないと思う。僕はどうあがいても長谷部誠にはなれない。自分のスタイルで代表を引っ張っていかないと」