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“長友佑都とインテルで同期34歳DF”引退後の意外過ぎ人生「ワインやオリーブオイルも自家農園で育てているんだ」「優勝した時の喜びは…」
posted2022/11/23 11:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
ANSA/AFLO
砂漠の国でワールドカップが開幕した今、アンドレア・ラノッキアは故郷のブドウ畑やオリーブの木々の中にいる。
インテルでキャプテンマークを巻き、イタリア代表としても活躍したDFラノッキアは昨夏、セリエAに昇格したモンツァに移籍。通算18年目のプロ生活に臨んでいたが、9月下旬、異例にもシーズン中の現役引退を発表した。
なぜ34歳の働き盛りに引退を決断したのか。その真相とセカンドキャリアへの考えとは。
第2の人生を歩み始めた彼を故郷に訪ね、インテル時代の“同期生”長友佑都との秘話から、元イタリア代表としてドイツとスペインの攻略法まで余すところなく語ってもらった。
3回に分けてお送りする、日本メディア初の独占インタビュー。第1回は、引退の真相とインテル時代の苦悩や栄光について(全3回の1回目/#2、#3も)。
全治3カ月のケガ以降、全力疾走は今もまだできない
ラノッキアが経営するアグリツーリズム(農園滞在型)・ホテルは、巡礼地として名高いイタリア中部の古都アッシジにある。レストランの真上には、中世の聖堂遺跡郡がそびえ立っており、その荘厳な景観に否#が応でも尋ねずにはいられない。
――あれって……世界遺産ですよね?
「そうそう、13世紀にできた聖フランチェスコ大聖堂だね。うちの建物も元々は16世紀の女子修道院で、20世紀初めに農園になって、70年代から放置されていた物件を7年前に買い取ったものなんだよ。5年かけて改修して、客室12室を整えた。レストランで使う野菜やハーブ類はもちろん、ワインやオリーブオイルも自家農園で育てているんだよ。コロナ禍で大変だったけれど、今年に入って客足も戻ってきたよ」
――現役時代からセカンドキャリアについて考えていたと。
「引退後は(インテルの本拠地で)都会のミラノに残るのではなく、親や親戚、昔からの友人がいる故郷に帰ると決めていたんだ。妻の実家もすぐ近くだし。近い将来、自分のサッカースクールを開くつもりだけど、サッカー以外の仕事にも関わりたかった」
――今季初出場となった8月下旬の第2節ナポリ戦で右脚腓骨を骨折した後、9月22日に引退を告げる動画メッセージをSNSで発表しました。多くの人が驚きましたが、引退の決断に至った理由を聞かせてもらえますか?