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日本ハム新スタジアム問題はオトナの解決…そもそも「60フィートルール」は本当に必要なのか? 規則の”破り得”にさせない前向きな罰則を!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2022/11/16 17:01
2023年3月に開場予定の「エスコンフィールド北海道」。95%完成とメディアにお披露目した直後に問題が発覚した
それは今回のエスコンフィールド北海道の2年がかりの改修決定で、「60フィートルール」の是非の論議は凍結されてしまうのか、ということだ。
エスコンフィールド北海道の誕生で注目された1つに、グラウンドとスタンドが近づくことで生まれる野球観戦の臨場感ということがあったと思う。この新球場は「新しい観戦スタイル」をコンセプトにメジャー流のスタジアムを目指し、その1つがフィールドとスタンドの距離感を縮めることだった。「日本で一番、臨場感がある」球場作りである。
その点はいかにも日本ハムらしい視点とコンセプトで評価されるものだが、やり方を間違えたためにこんな騒動になったわけだ。
このルールは本当に必要なのか?
そして問題は「改修」で決着はした。ただ、この騒動が日本の野球場が守り続けてきた「60フィート」の決まりに、一石を投じたのも確かである。
このルールは本当に必要なのか? 当然、これをきっかけに論議があってもいいし、本来的にはMLBと同じように「必要」を「推奨」に書き換えるべきという意見が多いのもうなずける部分である。
そう考えると今回の大人の解決策が邪魔をすることはないのか? という疑問が生まれてくるのだ。エスコンフィールド北海道の改修は2023年オフから2年間かけて行う予定である。となると、この2年間はルールは書き換えられなくなるのではないか。
例えばもし、このオフに問題が提起されて「推奨」への書き換えが決まったら、日本ハムの改修はどうなってしまうのだろうか? 約束は約束だから「推奨」に従って、バックネットまでの距離を60フィートに作り変えるのだろうか。あるいはルールが書き換えられたら、もう関係ないので現状のままで、実質的にはペナルティーなし、ルールの“破り得”で、問題はいつの間にかファンの記憶から消し去られていくのか。
もっと前向きなペナルティーを
それもそれでなんだか釈然としないことになってしまう。だからこそもっと前向きな“ペナルティー”はないのか、と思うのだ。
本塁からバックネットの距離が近づくことで、ファンはこれまでにない臨場感を手に入れる。それが日本ハムの売りだが、そういうファン目線だけではなく、もちろん球団にはしたたかな経済的な計算もあるだろう。