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日本ハム新スタジアム問題はオトナの解決…そもそも「60フィートルール」は本当に必要なのか? 規則の”破り得”にさせない前向きな罰則を! 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2022/11/16 17:01

日本ハム新スタジアム問題はオトナの解決…そもそも「60フィートルール」は本当に必要なのか? 規則の”破り得”にさせない前向きな罰則を!<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2023年3月に開場予定の「エスコンフィールド北海道」。95%完成とメディアにお披露目した直後に問題が発覚した

 エスコンフィールド北海道は規定よりスタンドが前に出た3メートル分に、一番、高価なシートを設けて大きな収益を手に入れる。増設分のシートは、シーズンシートの最上級「ダイヤモンドクラブシート」という位置付けで、フルサービスで年間156万2000円というセールス価格だ。ネット裏には1列25席ほどが並び、3メートルだとほぼ2段分から3段分。どんなに少なく見積もっても来年1億円を越える売り上げが、スタンドが前に出た分で確保されるのである。

 ならばその経済的な対価を“罰金”としてペナルティーで求めた方が、球界全体としては前向きだったのではないかということだ。

”改修”ではなく、”制裁金”の方が有益では

 このオフに改めて「60フィートルール」を規則委員会で検討して、了承を得られれば「必要」を「推奨」へと書き換える。エスコンフィールド北海道の改修は中止して、この球場の「臨場感」は、今後もそのままずっと生かす。その代わりコミッショナーが日本ハム球団に制裁金の支払いを命じる。金額は3メートル分のシートの収益全部とは言わないが、それなりの金額を改修が予定された期間の2年間にわたって納める。制裁金はNPBが野球振興なり、地方球場の改修やアマチュア団体への支援などに使えば、有益なのではないだろうか。

 もう1度言うが、日本ハムは当初の設計通りスタジアムを作りたいなら、きちんと申請をして、他球団の了承を得てから着工すべきだった。まずはそこだ。その作業を怠り、しかも指摘されても米国のルールを持ち出して「解釈の問題」と強弁しようとした。

 この部分に“罰”が必要なのである。ただ、3年近くもかけることになる改修という後ろ向きなものではなく、もっと前向きな“罰”が必要だったのではないかと思う。

「エスコンフィールド北海道」そのものは、決して悪い球場ではない。むしろこれからの日本のスタジアム作りの1つの先駆けとなる、そういう球場になるはずだからである。

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