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まさか大金星? オールブラックスを追い込んだ驚異の4トライ…現地記者も「日本の”大物食いリスト”にニュージーランドが加わるだろう」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/02 11:01
オールブラックス相手に4トライを奪ったラグビー日本代表。31-38で敗れるも姫野和樹(写真中央)はじめ個々のスキルとチームとしての連携が光った一戦だった
後半39分、ついに4点差へ…
後半の収穫は、10月に入って3試合を戦ったオーストラリアA戦での課題だったラスト20分のディフェンスで、破綻がなかったことだ。選手が入れ替わっても緊張の糸が切れることがなく、ディフェンスラインのスピードがむしろ上がった局面さえあった。
そして後半39分、4点差へと迫る姫野のトライはスタジアムの緊張をより一層高めた。
試合後のニュージーランド・メディアを渉猟してみると、この瞬間に記者の多くが「最悪の出来事」に想像をめぐらせていたことが分かる。
試合前、2011年と2015年のW杯で主将を務めたリッチー・マコウがこう話していた。
「たしかに、オールブラックスは去年からアップダウンの激しいシーズンを送って来たことは否定できないね。日本、そしてウェールズ、スコットランド、イングランドと続くオータムテストマッチのなかで、どれだけ自信をもって80分間戦えるか、キャプテンのサム・ケインをはじめ、リーダーシップ・グループの手腕が試されると思う」
まさに、そんな瞬間が訪れてしまったのだ。
しかし、そう甘くはなかった。日本のアタックのリズムは悪くなかったが、パスが大きく乱れた場面があり、大金星は幻に終わった。
やはり、格上相手にミスを重ねては勝てない現実を見せられたのだ。
それでも、いい試合だったことに変わりはない。
試合後、ジョセフ・ヘッドコーチやトニーだけでなく、リーチマイケル、姫野らがニュージーランドの選手たちと旧交を温めていた。両国がラグビーという太い絆で結ばれていることが見られた素敵な情景だった。
そして記者会見でも、ジョセフ・ヘッドコーチはいつもより饒舌だった。