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中島イシレリと妻・理恵子さんの7年。
「代表の支柱」を支える家族の存在。

posted2019/11/13 20:00

 
中島イシレリと妻・理恵子さんの7年。「代表の支柱」を支える家族の存在。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

中島イシレリは大きくて、強くて、しかし家族と話すときにはなんとも柔らかい雰囲気を放っていた。

text by

山川徹

山川徹Toru Yamakawa

PROFILE

photograph by

Nanae Suzuki

 10月12日午前10時、台風19号が首都圏に迫っていた。徐々に強まる雨脚が、ホテルの窓から見える都心の風景を煙らせる。

 5月に生まれたばかりの次男テルくんを膝にのせた中島理恵子さんは、滞在するホテルの一室で切り出した。

「普段、ラグビーについて話すことはほとんどないですね。ラグビーは彼の仕事であり、生業でしょう。ラグビーを知らない私が口に出しちゃいけないかな、と」

 でもね、と彼女は続けた。

「イシと知り合うまではラグビーを見る機会はほとんどありませんでした。見はじめて、すごいなと思ったのは他のスポーツにはないラグビーの文化です。お客さんは、応援するチームに関係なく客席に座って、いいプレーに拍手する。キックするときは静かにする。ラグビーは、相手をリスペクトするスポーツなんだなって」

「イシ」とは理恵子さんの夫で、日本代表プロップの中島イシレリである。

2人の出会いから7年が過ぎている。

 桜のジャージの17番を背負った中島は、今回のW杯5試合すべてに後半から出場した。彼が担ったのは、疲労が見えはじめたチームに活力を与える役割だった。

 2人の出会いから7年が過ぎている。

 1990年生まれの理恵子さんは、中学卒業後にカナダへの留学を経験した。

「中学時代から物事を考える根っ子には言語があるんじゃないかと漠然と感じていました。日本にいて日本人と日本語だけでコミュニケーションを取っていたら新しい考えや、広い視野を持てないんじゃないか、と。叔母がカナダの人と国際結婚していた影響もあって、中学時代から、いつか海外に出てみたいと思っていたんです」

 高校時代をカナダで過ごした理恵子さんは帰国後、日本の大学で経営学を学ぶ。そして、2012年からは北関東を中心に飲食店フランチャイズを運営する企業で働きはじめた。

【次ページ】 「なに? この毛むくじゃらで、大きい人は」

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