まあ打ちますよ。そのうち…高津監督の覚悟

　いきなりの4三振と喘ぐ中でも、バットをしっかり振る意識があり、振れているのか。本人がスランプを過剰に意識して、何か特別なことをしようとしていないか。昨年も山田は第4戦までは14打数2安打6三振と苦しみながら、第5戦の8回に起死回生の同点3ランを放っている。どこかでシリーズの流れを変える力がある。だからこそ技術的な問題ではなく、普段と変わらぬ山田がグラウンドに立てているかを指揮官は見ている。

昨年の日本シリーズ第5戦で3ランを放った山田　©︎Naoya Sanuki

　そういう意味では守備での軽快な動きが1つのポイントだ。第2戦では7回無死一塁から吉田正尚外野手の一、二塁間を破ろうかという強いゴロを体を滑らせながら好捕。すかさず二塁に送球して一塁走者の中川圭太内野手を封殺するビッグプレーもあった。

　もちろん短期決戦への意気込みや気負いはあるはずだ。それでも普段どおりの山田がいれば、今年も必ず結果はついてくると信じている。決してぐいぐい前に出てチームを引っ張るタイプではないが、それでもチームのリズムという点では、やはり打線の中での山田の存在はチームに不可欠なのである。

「まあ打ちますよ。そのうち……」

　山田の話をこう締め括った言葉から、高津監督の、このシリーズで最後まで「3番・山田」を使い続ける覚悟が伝わってくる。

　それがセ・リーグ連覇を果たしたヤクルトのスタイルであるということだ。

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