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ヤクルト山田哲人、シリーズ2戦5三振も高津監督は3番起用に迷いなし…WBCイチローに通じる起死回生「まあ打ちますよ、そのうち…」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/10/24 20:00
日本シリーズ2戦で9打数ノーヒット5三振と不調のヤクルト山田哲人。ミスター・トリプルスリーの逆襲はあるのか…
「ああいう時って何か普段と違うことをやろうとする。あのときのイチローもそんな様子が見えたから、僕は彼を呼んで『何も特別なことをしなくていい。普段通りのイチローを見せてくれ』と伝えたんだ」
シアトル・マリナーズでプレーしていたイチローさんは、メジャーリーガーとしての実績を引っ提げ、第1回大会でも世界を相手に日本代表を頂点へと導いた。そして連覇がかかった第2回大会。当然、代表に集まってきた選手たちはイチローさんの一挙手一投足に注目していた。
しかし肝心のイチローさんの調子が、日本での1次ラウンドから上がらない。米国に渡った2次ラウンドでは、キューバとの初戦から韓国戦にかけて安打も出なくなっていた。
そして迎えた3試合目のキューバとの再戦。一塁に走者を置いた場面で打席に立ったイチローさんが、まさかのセーフティー気味の送りバントを試みたのだ。だが、それが三塁前への小フライとなってアウトとなった。
WBCでの原監督の言葉「俺はイチローが見たいんだ」
そこでベンチに戻ってきたイチローさんに原監督はこう語りかけたという。
「もうバントはしなくていい。俺はイチローが見たいんだ」
すると直後の打席で右前に13打席ぶりの安打を放ったイチローさんは、次の打席ではセンターオーバーに三塁打。そして決勝の韓国戦では、あの伝説となった決勝タイムリー安打を放つことになる。
話はシリーズに戻る。
「スイング自体は強く振っている」
この言葉から高津監督が見ているのも、スランプの中でも山田が普段の山田であるかどうかを気にかけているということだ。